この問題は、過度の射幸性からアルゼ側が自主回収を決定した『ミリオンゴッド』の代替機として用意された『ゴールドX』に攻略法が発覚。島閉鎖などで対応したパーラーがその間に受けた営業的損害などの賠償を求めて04年秋口から法廷で争っていたもの。ミリオンゴッドには問題発生から3ヶ月後の03年10月に検定取消処分が下された。
今回の高裁判決で勝訴した原告側は「アルゼ(株)に対し責任追及する会」の関東地区所属の3店舗を経営する1法人および中部地区所属の2店舗経営の1法人の2社。
追及する会は被害を受けたパーラーらで全国の各ブロックごとに結成された有志連合で、全日遊連は訴訟に必要な情報提供など全面的なバックアップに回っていたが、現在までに損害賠償の提訴に踏み切っているのは今回勝訴した関東、中部地区に加えて、中国、近畿、九州の計5ブロック。うち中国地区の1法人1店舗については昨年3月の一審勝訴後の同年8月ごろまでにアルゼとの間で和解が成立していた。なお近畿地区の5法人5店舗、九州地区の17社40店舗については現在、一審係争中(近畿地区の5法人5店舗は昨年4月時点の状況)。
今回のふたつの二審判決で損害賠償が認められたのは一審同様、休業損害、運送費用、検定費用(AMマーク費用)、変更承認申請費用など。関東地区の裁判では保管費用、ゴールドXにかかった広告宣伝費も損害に認定。さらにアルゼ側に下取りに出した中古機のミリオンゴッドの代金支払請求についても認められている。
会見で担当弁護士の加藤興平弁護士は、「ホール従業員による監視強化や対策シールの貼付などアルゼ側から提示された一連の対策について改めて不十分との判断が出た。最高裁でもこの判断は維持されると思う」と述べるとともに、全日遊連のバックアップについて、「問題発生時のアルゼ側執行役員の発言や、組合員を対象にしたアンケートなど証拠資料を提出してもらうなど全面的な協力を頂いた」と謝意を表した。
全日遊連の山田茂則理事長は、「今回の裁判開始以降に発生した不具合問題についてはすでに前提には損害賠償という流れができている。いずれにせよ不具合などの問題解決のための有効な判例に道が開かれたと認識している」と語った。