この特許訴訟はCT機能の特許権を侵害されていたとしてパチスロ機メーカーのアルゼ(株)(東京都江東区/岡田和生社長)が競合メーカーのサミー(株)(東京都豊島区/里見治社長)と(株)ネット(大阪府堺市/国本幸司社長)を相手に一昨年11月、東京地裁に起こしていたもので、昨年3月、同地裁はアルゼ側の主張を認める形でサミーに74億1668万円、ネットに9億8870万円の総額84億538万円にのぼる損害賠償の支払いを命ずる判決を下していた。
判決を受けサミー、ネットの両社はただちに上級審に控訴するが、それ以前にサミーでは特許庁に対し、無効審判申立を行っており、判決の出る前日の3月18日に同庁は「本件特許権の無効理由を発見した」と発表、翌日には同地裁に「無効理由通知書」を送達していた。
今回の判断も当時の“発見”を根拠としていたことが考えられるが、8日付読売新聞朝刊では、「進歩性がない。すでに公開されていた発明との違いが不明瞭だ」とする同庁側のコメントを掲載している。
一方、アルゼ側は「誤解に基づく、到底理解し難い審決であり、審決取り消しの訴訟を提起することにした」(同紙より)と、早くも徹底抗戦の構えを示している。
控訴審は現在、東京高裁で審理中。今回の同庁の判断が控訴審にどう影響するかが注目される。