説明によると、今回のパチスロ機の無承認変更は、5月27日の埼玉県警および警視庁の立入調査によって発覚したもので、立入は山田理事長が経営に参画する全6店舗(埼玉県内5店舗、東京都内1店舗)に及び、うちパチスロ機のクレジットの払出しにかかる「ハースネ外し」が埼玉の2店舗、対策部品の無承認付加が東京都内の1店舗で見つかった。なお、今回の立入は風適法の規定に基づいており、捜査令状の伴った捜索ではなかった。
立入はまず、埼玉県警と所轄署によって「にしじん草加店」に午前10時ごろから約2時間にわたりロムチェッカーによる全台検査が行われた。2店舗目は夕方5時ごろで、同じ草加にある「あゆら357」。続く立入は夕方になってからで同6時ごろには「越谷店」と同じ越谷にあるパチスロ専門店の「NASA」が続けざまに調べられ、県内最後となった「春日部店」には同8時ごろに入られたという。「ハーネス外し」が見つかったのは「草加店」と「越谷店」。対象となったパチスロ機は「3〜4機種」(山田理事長)にのぼっていた。
一方の警視庁管内の「四ツ木店」への立入は夜7時ごろ行われ、結果、同店に設置された全4台のパチスロ機『吉宗』に無承認による付加部品の装着を確認。同機1台と取り付けられていた4つの部品が警視庁に押収されている。
クレジットの払出しにかかるハーネス外しは、ハーネスを外すことでクレジット分のメダルの払出しをできなくさせるもので、不正にクレジットを引き上げ、払い出しをするゴト手口に対抗したもの。一般の客から払出しを求められた場合は、従業員が直接メダルを手渡す形がとられており、また、「四ツ木店」で見つかった対策部品は、大当たり周期のタイミングを不正に読み取った上で、大当たりを不正に狙い撃ちにするゴト行為を防止する通称「ズラシ」と呼ばれるものだった。
会見で山田理事長は、「日頃から法に触れるようなことはするなと従業員に言ってきた。(無承認変更が見つかった)店舗の責任者も、やってはいけない行為だという認識は持っていたようだが、だからこそ会社に報告できなかったと話している」と述べ、一連の不法行為に山田理事長本人はまったく関知していなかったことを明らかにした。また、全日遊連が中心に業界他団体と連携して来月7月の設立を目指していた「遊技産業健全化推進機構(仮称)」への影響については、「若干遅れることがあるかもしれないが、担当副理事長を中心に設立準備は粛々と進められている」と苦渋を滲ませながら答えた。
今回の会見は、同日付けの一部の大手新聞報道で急きょ設定されたもの。今回の無承認変更がゴト防止にあったとはいえ不法行為には変わらないが、同記事がこの行為を裏ロムや遠隔操作といった不正と同一視し、さらに全国の長の店舗でこうした不正行為が明らかにになった点をとらえ、「違反が横行する業界の体質が改めて問われそうだ」と極めて厳しい批判を展開。これに山田理事長は、「私のせいで、あたかも業界全体が不正まみれという印象を与えてしまった。全国の同業の方々に本当に申し訳なく、心からお詫びを申し上げたかった」と今回の会見趣旨を説明し、その上で「本来なら立入の結果が明らかになった時点で、会見を開くべきと考えたが、マスコミ報道が先行してしまったことから、結果が出る前でも、いまの時点で私が確認できていることについてはきちんと説明しておくべきだろうと判断した」と付け加えた。
一方、今後の進退については、「立入の結果を待って、考えたい」と述べたが、記者団からの「今回の無承認変更は裏ロムや遠隔操作と質が違う。経営者として管理責任は免れないとは思うが、全国の同業者の多くから山田体制の続投という点でエールが送られているとも聞いているが…」との問いには、「機構への影響や世論への影響を考えると…。現に今回の一件で、『どうせパチンコは不正まみれだ』というようなインターネットの書き込みもあるわけだし、そういうエールは大変ありがたく受け止めているが、ともかく結果が出たところできちんと話したい」と答えた。
また、今回の立入が全日遊連の通常総会が行われた5月27日に重なっていることや、警視庁と埼玉県警が同時に立入に動いたことなどから、業界の内部告発による“狙い撃ち”だったのではないかとの質疑も出たが、これには「それには何とも答えようがない。私は、通常の行政立入だったと今は理解している」と述べるにとどめた。