同機構は、全国すべてのパチンコパーラーを対象に恒常的な立入調査を主たる活動目的とする第三者機関に位置づけられるもので、代表理事には元最高検察庁公判部長の河上和雄弁護士、副代表理事に早稲田大学理工学部経営システム工学科の永田靖教授、森末暢博弁護士、専務理事に報知新聞社の元社長の伏見勝氏のほか、漫画家・小説家・モデルなど多彩なフィールドで活躍中のさかもと未明氏、早稲田大学理事の關昭太郎氏が理事に就任するなど、錚々たる有識者が役員に名前を連ねている。
また、第三者性を担保するため10名の役員枠のうち、業界関係者の役員枠を4名以下に抑えており、今回業界からは全日遊連の平川正寿副理事長、日遊協の大久保正博副会長、日工組の石橋保彦副理事長、日電協の小林友也副理事長が理事として機構の役員に就任している。機構の構成社員は業界理事の所属4団体のほか8団体の計12団体。全日遊連、日遊協、日工組、日電協、全商協、回胴遊商、自工会、自動補給、メダル補給、同友会、余暇進、PCSAの業界12団体が機構の今後の活動に協力支援を表明している。
会見の冒頭、挨拶した河上代表理事は、「本機構の事業中心はパチンコ店の安心安全な環境整備にある。とくに遊技機の不正改造をめぐってはゴト師らによる外部不正、店舗が関与する内部不正があると聞くが、まずはこれを一掃することに努力したい。企業活動におけるコンプライアンス(法令遵守)が強く求められている時代にあって、この業界も例外ではない。何より重要なのは“透明性”だ」と所信を述べた。
また、河上代表理事は立入調査を実施するにあたり、その受け入れを表明する「誓約書」を全国のパーラーから提出してもらう方針を説明。提出パーラーの店舗名を機構のホームページ上に掲載し、健全パーラーとして広く社会にPRしていく考えを示した。誓約書の提出に関する全国パーラーへの呼びかけは近日中に開始される予定だ。
一方、機構の立入要員について河上代表理事は、「(高度に電子化が進んだ現在の遊技機に対応するため)ITに詳しい要員を職員として相当数雇うことになると思う」と説明。ただ伏見専務理事は「全国に約1万5000軒もあるホールを万遍なくパトロールするという考え方はもっていない。現実には我々が収集する情報に基づき問題のあるところを集中的に立ち入ることになるのではないか」と補足するとともに各県遊協ごとにすでに設置されている不正監視機構との連携に触れ、機構の行う巡回立入として補完してもらう方向性にあることを示唆した。
注目される不正に関与した店舗へのペナルティーについては、「機構として遊技機を販売するなと言うことはできない。独禁法など法的に抵触する可能性があるからだ。したがってこの点についてはメーカーの問題だと認識している」と河上代表理事は応じ、「機構のインターネットに公表される店舗名はあくまで誓約書を提出し、不正に関与していない安心安全なパーラーだ」と強調。そこに店舗名のないパーラーにどう対応するかについてはメーカーの独自判断になるとの考えを示した。
構成社員を代表して会見に出席していた日遊協の三上専務理事も、「そもそも機構は捜査権を持っていないし、不正行為を認定する認定権も持っていない。つまり行政に対する不正容疑に関する情報提供までに活動範囲は限られている。いずれにせよ不正に関する認定権を持っていない以上、不正をした店舗名を機構として発信することはできない」と補足した。