この問題は、04年1月26日から05年5月12日までに、パチンコ景品として陳列していた同店のブランド商品の一部(フェンディ)に偽物が発覚、偽物でありながら本物の市場価格に対応した交換個(枚)数で商品を提供したとして、風適法の施行規則で規定される「等価交換原則」違反を問われたもの。今回の処分もこの等価交換違反が直接の根拠になっている。
会見の冒頭、経緯説明にあたった佐藤公平社長は、「当該店舗に偽ブランド品が置かれているということで警察の捜索を受けたのが昨年5月12日。当社としては偽ブランド品という認識はまったくなかったが、こうした事態を厳粛に受け止め、偽物を指摘された商品の納入業者である(株)三井との取引をただちに全面的に停止すると同時に、三井から納入されたブランド品を含むすべてのブランド品を撤去、撤去した商品は捜査協力のため警察に任意提出した。その後、9月になって三井および三井関係者に商標法違反の有罪判決が出たが、当社については何ら処罰がなかったことから、偽ブランド品という認識はまったくなかったという当社の見解が受け入れられたものと理解していた。しかし12月に入り、突如として営業停止処分を予定する聴聞通知書が通知された」と述べ、今回の処分の方針が捜索から約半年後に示されたものだったことを明らかにした。
同社が三井と取引を開始したのは1995年から。捜索を受けた昨年5月12日当時はその時点で同社が展開していた全237 店舗と取引が行われていたが、処分を受けたのは《美しが丘店》1店舗だけだった。
偽ブランド品という認識がなかった客観的な根拠について会見では、問題の偽ブランド品について三井側から並行輸入品(正規代理店を通さずに輸入した品物。一般的に正規ルートよりも安いと認識されている)であるという説明を受けていたこと、ブランド品について景品上限額の「1万円相当」として提供していたが、その商品を9000円〜9500円の価格帯で仕入れていた事実などが報告された。
佐藤社長は、今回の処分決定を受け、当該処分の取り消しを求める訴訟を提起すると同時に、処分の執行停止を北海道公安委に申し立てた経緯を報告。「しかし今回の問題は非常に分かりづらい点が多い。社内的にはそういう(行政訴訟)ことも議論には出たが、これは訴訟ですから判決が出るまで何年かかるか分からない。それよりも今回の件については分かりづらい点が多かっただけに、広く情報を開示することで、業界全体が情報を共有することのほうが重要だと判断、訴訟は取り下げることにした。本日配布した220ページにおよぶ資料はそういう思いを込めて作成したものだとご理解願いたい」と述べた。
一方、今回の処分事由である「等価交換原則」違反について森治彦法務部長は、「北海道公安委の判断は、偽ブランド品が本来1万円もするはずがないという考えに基づいている。偽ブランド品が偽ブランド品として流通する場合に想定される市場価格はせいぜい数千円。それを1万円として提供したことが等価交換原則に抵触した、そういうことだったと思う」と、記者団の質疑に答えた。