今回焦点となった市条例は、奈良市が古都・奈良の景観保全を目的に制定している「市ラブホテル及びぱちんこ屋等建築等規制条例」(ラブパチ条例)。県条例の出店制限エリアが学校や病院、保育園などの保護物件から周囲100メートル以内に規定されているのに対し、市条例では200メートル以内に制限を拡大。問題となった旧ダイエー跡地は県条例の制限エリアには入らないが、ラブパチ条例の制限エリアに該当していた。
これに対して出店を計画していたパーラー企業は奈良市建築審査会に処分の取り消しを求める再審査を請求。10月4日に開かれた同審査会の口頭審査で、建築確認の審査対象は建築基準関係規定の適合性の有無のみ、ラブパチ条例は含まれないと主張していた。
報道によると今回の処分取消の決定について同審査会は、「建築確認は建築基準法など建築基準関係規定に基づいて行うもの」と、パーラー企業側の主張を全面的に認め、市条例をクリアしているかどうかは含まれないとの判断を示すとともに、市条例そのものについては「有効」とした。また「市は条例の根拠や合理性、古都としての景観保全についての具体的な主張と立証を行っていない」との考えを示していたことを伝えている。
一方、奈良市は出店反対の姿勢を崩しておらず、工事中止の仮処分申請も検討している。同紙では、「着工されれば、条例違反として工事中止を求め、仮処分を求めることもあり得る」という奈良市建築指導課のコメントも合わせて掲載している。