7月3日に公示を迎えた今夏の第27回参議院選挙。この選挙は単なる政治イベントではなく、遊技業界にとって未来を左右する重要な岐路となる。
過去2回に渡る参院選では業界の声を国政へ届けるべく特定の候補者を支援してきたが、残念ながら結果は振るわなかった。
その要因の一つとして指摘されていたのが、支援候補者が業界外の人物だったということだ。しかし今回、自民党の全国比例公認候補として名を連ねる阿部やすひさ氏は、紛れもなく業界の内部を知り尽くしたホール事業者だ。業界の良い面も課題も熟知し、現場の声を反映できる立場にある。業界全体を俯瞰すれば、「業界のために戦うことができる人材」として、最適な選択肢であることは疑いようがないところだ。
言うまでもなく業界の現状は厳しい。ファン人口は減少傾向が続き、店舗数も縮小、すでに7,000店舗を割っている。業界で働く人々の数も減少し、それはホールスタッフ、流通業者、遊技機メーカーに至るまで影響は広がっている。このまま業界規模が縮小し続ければ、政治や行政に対する業界の発言力はさらに希薄化していくだろう。
票数が政治的影響力に直結する今の選挙構造において、業界従事者人口の減少はすなわち国政への「発言力の喪失」を意味する。今回の選挙が特別なのは、今後これと同様の機会が訪れる保証がないためだ。
業界の縮小が進み、従事者が減り、関係者の結束力が希薄になれば、再び“業界出身者を政治に送り出す”という構図は現実味を失っていく。言い換えれば、今回の選挙は「最後のチャンス」となるかもしれない。
業界は年間14兆円超の市場を誇り、雇用創出や地域経済への貢献度も高い。しかし、社会からの理解が不足しがちなため、長年にわたり制度面を中心に、いまだ様々な不利益を被り続けている。加えて近年は、依存問題が社会課題としてくすぶっている。この問題は、落とし所次第で、大規模な業界批判にも繋がりかねないリスクだ。さらに、誤った認識に基づくイメージの悪化など、業界を取り巻く環境は決して安穏とはいえない。この状況下のもと、現場感覚を持った上で、政策提言を行える人材の必要性はかつてなく高く、阿部氏の存在は、こうした文脈において、極めて大きな意味を持つ。長年の組合活動を通じて全国の声を聞いてきた経験は、単なる「業界出身候補」とは一線を画すものだ。
いずれにせよ、この選挙の結果次第で、業界は「政治の蚊帳の外」に置かれるか、それとも制度決定側との対話力を持つ産業として生き残れるか――。その分岐点に立っている。
そして今回の選挙は、長年にわたる制度的困難に向き合ってきた業界が、今後持続可能な事業環境を確保するための道筋をつけられるかどうかが、問われているともいえるだろう。しかし、それを実現するために必要なのは、いうまでもなく業界関係者一人ひとりの行動だ。今後10年、20年先の業界の姿を左右する局面であることを認識した意思を示せるか。その一点にかかっている。