失敗しない売り場プロモーション㊹(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
口コミを生まない広告
取材イベント、ライター・演者の来店イベントといった“日替わりの集客装置”に頼る広告手法は、瞬間的な集客力こそあるものの、店舗のリピートや口コミには繋がりづらいです。
なぜなら、店舗の信用でお客様を呼び込んでいるのではなく、他社(他者)の信用で集客しているだけだからです。そのため、“日替わりの集客装置”へ投資を続けなければ、集客を保つことは出来ません。そして、お客様を煽る広告を繰り返せば、いつしかお客様は刺激に慣れて、飽きがきて徐々に集客力を失います。
また、朝の並びで、数百人規模の集客ができたのは店長の営業手腕ではなく、会社が“日替わりの集客装置”へ投資してくれたお陰です。

取材イベントや来店イベントなどの「日替わりの集客装置」に頼る広告手法は、瞬間的な集客力はあるが、リピートや口コミに繋がりにくい。
現在のパチンコ店の情報発信は常連客を起点にしていない広告ばかりです。あなたの店舗は、どれだけ常連のお客様にしか伝わらない広告を実施していますか? 繁盛店では定点観測では分からない、仕掛けが必ず実施されています。
繰り返しますが、イベント来店を目当てにするお客様は、イベントがない日には来店しない場合が多いです。
一方、ほとんどのパチンコ店では「利益を安定させている」のは、間違いなく常連客です。“日替わりの集客装置”の日にしか来店しないお客様だけに向けた広告のみで情報発信することから脱却しませんか?
回りくどい言い方をしましたが、今回の私のコラムでは「そろそろ常連のお客様を大切にしませんか?」ということを切実に伝えたいのです。
「気づき」から始まる口コミの仕組み
では、常連のお客様を大切にする場合、常連のお客様を軸にした広告戦略とは、どのようなものでしょうか?
常連のお客様しか気づけない「法則」が口コミの起点になります。繁盛店に共通しているのは、常連のお客様しか気づかない広告の“法則”が存在するということです。ひと目では分からない、繰り返し店舗に来店し続けているとわかる規則性があります。
それに気づいた常連のお客様はその法則を発見する度に、喜びを得るように広告の信用設計がされています。そしてその気づきは、ご夫婦や友人・知人など仲間内での会話のネタとなり、自然と口コミが広がっていきます。
口コミとは、「誰かに教えたくなる価値ある情報」が起点となります。誰でもすぐに知れるような情報では、語る価値がないのです。だからこそ、「常連のお客様だけが知っている情報」が、口コミに火をつけるのです。
情報は「語らせる」ものに変える必要があります。口コミを生み出すには、「情報を伝える」から「情報を語らせる」へと発想を転換させます。あえて全てを語らず、発見と検証の余地を残す情報設計が重要です。その結果、来店するお客様同士が「前回はこうだった」という会話が始まります。そこに、広告では作れない熱量が生まれるのです。
“語られる店”になるための第一歩
まずは「誰に向けた広告か?」を見直すことをおすすめします。今一度、単発のイベント来店客か、それとも日常的に足を運ぶ常連のお客様か、どちらのお客様に向けた情報発信か分類してください。
日々の営業の中に「常連だけが気づける魅力」を忍ばせることが大切です。それが、広告という枠を超えた“語られる店づくり”への第一歩となります。
もっと具体的な口コミ戦略の広告設計の方法を記述したかったのですが、紙面の文字数の関係上、割愛させていただきます。広告ガイドライン制定は射幸性を高めるためだけに存在するのではなく、常連のお客様へ届ける手段として存在するのです。
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◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。