本稿は20円パチスロ市場のプレイヤー構造の変化をカテゴリ別に分析(円グラフを参照)し、その傾向と今後の戦略について考察するものである(文=𠮷元一夢/THINX 代表取締役)。
2023年から2024年にかけて、市場で最も規模が大きいカテゴリは「ジャグラー」であった。2023年は全体の41%で、2024年には43%へとわずかに増加し、微増だが堅調な成長を示している。ライトユーザー層を中心に安定した支持を得ており、20円パチスロ市場を牽引する主要カテゴリである。その占有率を高めることは、競争優位性を確立するための重要な要素といえる。
一方で、顕著な成長を示したのは「スマスロ純増4枚以上」のカテゴリ。このカテゴリは2023年が12%の規模であったが、2024年には24%へと倍増し、急成長を記録した。
この成長は市場全体の構造に大きな変化をもたらしており、2024年はこのカテゴリ帯への適切な投資が、成功の鍵となったと考えられる。それに対し、「スマスロ純増4枚未満」は2023年の3%から2024年は4%と微増に留まり、相対的な影響力は小さい。
他方、「Aタイプ」や「30φ」といったカテゴリは減少傾向にあり、2025年もこの縮小傾向は続くと予測される。特に、「メダル機」は撤去が進行しており、市場の自然な縮小は避けられない状況である。結果として「スマスロ純増4枚以上」のカテゴリがさらに支持を集め、市場の中心的存在へと成長する可能性が高い。
今後の市場構造は、ライトユーザー層を対象とした「ジャグラー」と、ヘビーユーザー層に支持される「スマスロ純増4枚以上」の二極化が一層明確になると予測される。二極化市場に対応するには、各カテゴリの特性を十分に理解し、それぞれのプレイヤーニーズに応じた運営戦略を展開することが重要である。
さらに、20円パチスロと4円パチンコ市場の構造を比較すると、「ジャグラー」の安定した支持が際立つ一方で、4円パチンコ市場は高射幸性に偏る傾向が強まっている。
ライトユーザー層の受け皿が減少している現状を踏まえると、4円パチンコ市場においても「ジャグラー」のようなライトな遊びを提供するカテゴリの存在が不可欠である。具体的には、「純アマデジ」や「純ライトミドル」といった低射幸性カテゴリの規模拡大が市場のバランス維持に寄与すると期待される。
以上の分析から、2025年の20円パチスロ戦略としては、「ジャグラー」の安定的な支持を維持しつつ、成長著しい「スマスロ純増4枚以上」のカテゴリへの投資を強化することが、重要な要素となる。市場の二極化が進む中で、運営側が各カテゴリの特性を最大限に活かした戦略を策定できるか否かが、今後の競争優位性を左右する鍵となるであろう。
◆プロフィール
𠮷元 一夢 よしもと・ひとむ
株式会社THINX 代表取締役。データアナリスト・統計士・BIコンサルタント・BIエンジニア。文部科学省認定統計士過程修了。現在は、IT企業のシステム開発やソフトウェア開発にアドバイザリーとして従事しながら、パチンコホール・戦略系コンサルタントとして活動。