【コラム】BT機の導入が開くパチスロ市場の選択肢 – AT機との共存が鍵となる時代へ

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2024年8月の遊技機規則の解釈基準改正から約半年が経過し、パチスロ市場では、いよいよ2025年中にBT(ボーナストリガー)機が登場します。本コラムでは、BT機とAT機という2つの異なるタイプの遊技機が共存することで広がる可能性について、開発者の視点から解説していきます(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。

なぜBT機が必要だったのか

2024年に登場したノーマル機のラインナップを見ると、一部のPB機を除き「ジャグラーシリーズ」「ハナハナシリーズ」「トリクラシリーズ」「ニューパルシリーズ」といった4号機から続く定番シリーズに偏っています。

【2024年登場ノーマルタイプ機種例】

・Sドラゴンハナハナ~閃光~
・SジャグラーガールズSS
・SニューパルサーSP4 with 太鼓の達人
・Sトリプルクラウンフォーユー

AT機は高純増や差枚数管理など、多様な遊技性が実現可能となった一方で、シンプルなリアルボーナス機を求める声は依然として根強く存在していました。特に6号機ノーマルタイプでは、1度の当たりでの出玉量に対する物足りなさが課題となっています。出玉制限が厳しいノーマルタイプにおいては、過去の定番シリーズに依存し、閉塞感が長年続いていました。

BT機のポジショニング

BT機のターゲット層として以下の3つが考えられます。

1. 4号機時代からのノーマルタイプファン
2. シンプルな遊技性を好む新規ユーザー
3. AT機の複雑さに距離を感じるライトユーザー

特に重点的に求められるのは、2や3のような新規やライト層です。これは、2025年度に限らず遊技業界として中長期的に力を入れていくべきターゲット層となります。

BT機の内部的な仕組みは複雑な部分もありますが、実際の打感は現行のノーマルタイプとほぼ同じで、ゲーム性はシンプルです。

ただし、長年定説とされてきた「ノーマルタイプ=ライト層向け」という見立ても近年崩れつつあります。ノーマルタイプは基本的にボーナスで増やすゲーム性ゆえに、ボーナス開始の度に目押しが必要になります。また、ゲーム性もジャグラーやハナハナのような完全告知タイプを除けば「リーチ目」といった出目演出が中心で、これが近年のライト層にはマニアックに感じる要因となっています。

これと比較すると、現代的な感覚では「目押し不要の押し順AT機」や「ゲーム感のある液晶AT機」の方がライト層向けと言えます。つまり、新規やライト層の開拓には、BT機のみではなく、BT機とAT機で共に取り組んでいく必要があるということです。

さいごに

即効性の高いスマスロAT機とは違い、BT機に関しては年単位での育成と見守りが必要です。また、作り手側もAT機でこれまで以上にライト層向けの機械を提供していく必要があります。

幸いにもスマスロ登場以降、パチスロ市場は稼働面・販売面ともに好調です。射幸性に頼り切った過去の轍を踏むのではなく、BT機をきっかけとして、AT機と共存させながら多様な価値観に寄り添った遊技機の登場に期待したいと思います。

◆プロフィール
ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表

発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536

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