10月に登場したパチスロ『Re:ゼロから始める異世界生活 season2』(以下、『リゼロ2』)は、AT純増約9.0枚という高純増と上位AT「超強欲ラッシュ」による一撃万枚の可能性を秘めた仕様で多台数導入され、市場に大きなインパクトを与えています(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。
『リゼロ2』は前作と同じ6号機でありながら、スペック帯が大きく異なっています。以下の表は、前作とのスペック比較をまとめたもので、特筆すべきは、コイン単価が1円上昇している点です。
自由度が高いスペック設計による弊害
スマスロでは、ゲーム性やスペック性能の自由度が高く、今年度登場したL機でもコイン単価2円台前半から4円台半ばまでと、幅広い射幸性の機種が登場しています。
しかし、初当たり確率や通常ベース、純増枚数などの基本情報だけでは、ライトユーザーが機種の荒さやリスクレベルを正確に把握するのが難しい状況です。
『初代リゼロ』はコイン単価3.1円、『リゼロ2』同様に初期2.5万台導入でスタートした『L北斗の拳』がコイン単価3.3円、また、リゼロ2と同じ9.0枚ATを搭載した『Lゴッドイーター リザレクション』がコイン単価3.5円となっており、『リゼロ2』のコイン単価4.1円とは大きく乖離があります。
一部の情報感度の高いユーザーは『リゼロ2』のハイリスク・ハイリターン仕様に気づいていましたが、多くの打ち手にとっては、実際に遊技するまでそのリスクが見えにくかったのではないでしょうか。
例えば、GODシリーズのように射幸性の象徴として定着したタイトルであればスペックイメージも分かりやすいですが、『リゼロ2』のように前作からターゲット層が異なる場合は、スペック性能をより丁寧にアナウンスする必要があります。これにより、打ち手と機種のミスマッチを避け、適切な選択が可能となります。
求められるスマスロの分類
スマスロ時代において、幅広いスペック性能が実現可能である一方で、打ち手が安心して機種選択できるよう、スペック分類のラベル付けが求められます。たとえば、パチンコで用いられている「ライトミドル」「ミドル」「ハイミドル」「MAX」といった分類が参考になります。
以下の表は、2,000G遊技時の平均投資額に基づいて2024年の登場機種を例に挙げて分類したものです。
このような分類を行うことで、たとえば『黄門ちゃま天』がこれまでのシリーズのようなライト層向けではなくやや荒いスペックで登場していることや、新規タイトルである『ストライク・ザ・ブラッド』がライト層向けである一方、『ToLOVEるダークネス』はハイリスク・ハイリターンの仕様であることが視覚的に伝わります。
さいごに
2022年11月にスマスロが登場してから2年が経ち、スマスロ市場も成熟期に入りつつあります。今後は、よりライトユーザーにもわかりやすく、安心して遊技できる環境の整備が重要です。スペック分類をはじめとするわかりやすい情報提供は、ユーザーがリスクや投資額を理解し、自分に合った機種を選べるようにするための第一歩です。
こうしたラベル付けや情報開示が進むことで、スマスロの魅力がさらに多くの打ち手に伝わり、業界全体の活性化に繋がると考えています。
◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表
発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
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