【コラム】パチンコ来店頻度が上がらない理由~客単価と来店単価の関係性~

投稿日:

高射幸機(ミドル+LT)を嗜好するプレイヤーの創出量は、前年の同時期よりも約10ポイント増加しており、数値にして69%の割合を占めている。例えば1,000人の「4円パチンコ」遊技者がいた場合、690人が高射幸機を嗜好するプレイヤーとなるため、いかにこの数値が驚異的なものかがわかる。これは「コロナショック」以降ピークの割合となっており、パチンコ市場は「高射幸」というワードに偏った構造となっている。言い方を変えれば“歪んだ構造”、そんな風に言えるかもしれない。

過去、パチンコ市場が活気づいていた時代は、「ライトな遊びを好む層」も上手く取り込めていた。しかし、最近ではそのような層に対するアプローチはあまり見られない。

マーケティングセオリーに基づけば、ボリュームゾーンである69%のプレイヤーをターゲティングすることは「遊技機メーカー」、および「ホール」、それぞれの立場において至極当然なことだと言えるが、「業界の未来」といった大きな枠組みで捉えると問題視しなければならない大きな課題として考えられそうだ。

その意味では、「LT機」や「スマパチ」といった射幸性に比重を置いた機種ばかりではなく、「ライトに遊べる遊技機」の提案もファン増加や回復といったワードに従うのであれば、避けては通れないのではないだろうか。

実際、「客単価」と「来店単価」のデータを分析すると、年々、1来店あたりで使用する金額(来店単価)は上昇している(図1参照)。このような事象は、昨今の遊技機のハイスペック化の煽りを受けたもので、パチンコで遊ぶにはお金がかかりハードルが高くなっている事を表している。

その一方で、プレイヤーが1ヵ月あたりに使用する金額(客単価)は、ここ数年間、ほとんど変わっていない。最近よく、「高単価機」や「高単価客」といったワードをよく耳にするが「高単価客」、すなわち「財布の紐が緩い客」として混同させてしまうのには注意が必要だ。

つまり、高射幸機がトレンドになろうとも、それに合わせてプレイヤーの財布が膨らんでいる訳ではないため、来店頻度は年々低下している状態にある。おそらくこの調子でいけばさらに来店頻度は低下すると予測されるため、来店頻度が下がることを前提に施策を走らさなければならないだろう。

さらに裏付けとして、「LT機」や「e機」を遊技するプレイヤーの遊びかたを分析すると短時間で遊技をやめるプレイヤーの割合(15分以内遊技者割合)が高くなっている(図2参照)。

これは「ミドル機」が主流の時代には見受けられなかった傾向であり、遊びにくさが増幅している証拠であると読み取れる。ようやく、「4円パチンコ」の業績も上向いてきたところではあるが、業界の発展を目指してゆく上では「来店頻度」や「滞在時間」が低下している状態には警鐘を鳴らしておきたい。

◆プロフィール
𠮷元 一夢 よしもと・ひとむ
株式会社THINX 代表取締役。データアナリスト・統計士・BIコンサルタント・BIエンジニア。文部科学省認定統計士過程修了。現在は、IT企業のシステム開発やソフトウェア開発にアドバイザリーとして従事しながら、パチンコホール・戦略系コンサルタントとして活動。

-コラム
-

© 2024 グリーンべると(パチンコ・パチスロ業界メディア) Powered by AFFINGER5