【コラム】パチンコが静かになる!?Bluetooth搭載機がもたらす革命的進化とその課題

投稿日:2024年10月3日 更新日:

2024年8月3日にニューギングループによって開催された「花慶の日2024」イベントでは、Bluetooth搭載の試作パチンコ機が展示されました。これまで遊技機は、不正防止の観点から外部機器との通信が遊技機規則で厳しく制限されてきました。しかし、最新の解釈基準の変更により、音声出力を目的としたBluetooth接続が可能になりました。

この変更は、前回のコラムで解説したBT(ボーナストリガー)機能と同様に、遊技機業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。今回は、Bluetooth搭載によりイヤホンから直接音声が聴ける遊技機の未来について、メーカー、ホール、ユーザーそれぞれの視点からメリットとデメリットを分析してみます(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。

「花慶の日2024」で披露されたBluetooth搭載の試作機。

1. メーカー視点

メリット:
• 新たな体験の提供:個別の音声体験によるユーザー満足度の向上
• サウンド演出の強化:高音質や細かい音声演出による没入感の向上
• 筐体の音量抑制:ホール全体の騒音レベル低減に貢献

デメリット:
• 開発コストの増加:Bluetooth機能搭載による追加費用
• 限定された機能:音声出力のみに限られる現状での投資効果の不確実性

2. ホール視点

メリット:
• 騒音問題の軽減:静かな環境の実現による顧客満足度向上と近隣への配慮
• 新規顧客層の取り込み:若年層や静かな環境を求める層へのアピール

デメリット:
• インフラ整備コスト:安定した通信環境確保のための投資
• 一部ユーザーの反発:新技術に馴染めないユーザーへの対応
• 音声トラブルへの対応:接続問題等によるサポートコストの増加

3. ユーザー視点

メリット:
• 音のプライバシー確保:他者に迷惑をかけずに楽しめる環境
• 音質の向上:ノイズの少ないクリアな音声体験
• 騒音が苦手な人でも楽しめる:快適なプレイ環境の実現

デメリット:
• イヤホンの装着必須:準備や長時間使用による負担
• バッテリー消耗:接続機器のバッテリー切れによる音声体験の中断

Bluetooth搭載の遊技機は技術的には実現可能な段階に来ていますが、実際の導入にはまだ多くの課題が残されています。特に、各立場のデメリットを慎重に検討し、解決策を見出していく必要があります。現時点では、遊技機が適合したとしても、ホールに実際設置されるのはまだ時間がかかると言えます。

特にホールでのインフラ整備などは、早々に具体的な対応策を検討することが求められます。また、従来の筐体から直接出力される音声仕様との併用など、多様なニーズに応える対応も求められるでしょう。

Bluetooth搭載遊技機の登場は、パチンコ産業に新たな可能性をもたらすと同時に、業界全体での協力と創意工夫が不可欠です。この技術がより良い形で実現され、業界の発展に寄与することを期待しつつ、それぞれが積極的にアイデアを出し合っていく必要があります。


◆プロフィール
ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表

発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536

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