失敗しない売り場プロモーション㉟(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
顧客欲求を満たした情報発信を行う
店内広告、および店外広告(WEB広告やSNS広告を含む)を実施しても「顧客反応を得られない!」という声を多々聴きます。なぜ、成果が生まれないのでしょうか?
その理由は単純です。顧客欲求を満たした情報発信を行っていないからです!
我々人間は自分自身の欲求を刺激しないものに対して無関心です。例えば、電車好きな人が電車好きではない人へ「鉄道ってさ、本当にすごいよね。特に日本の新幹線は1964年に初めて運行が始まって、当時は世界最速の列車だった。世界初の電車はドイツで1879年に…」のように語っても、電車好きではない人は話を聞くのが辛いです。どんなに声色やトーンを研究して伝え方の精度を上げたとしても電車に対する欲求がないため、話を聞くことに嫌気がさします。
広告も同様です。顧客の興味がないものに対して、とても素晴らしいデザインを制作して発信しても伝わらないのです。そのため広告効果を最大化するためには大多数の顧客の欲求を把握する必要があります。
例えば、LINEという会社は顧客欲求に寄り添った発信が得意です。大谷翔平選手が話題になれば、大谷選手の話題をテーマにLINE NEWSを配信します。だから開封率が上がり、顧客反応を得ることができるのです。
顧客の欲求を可視化し、寄り添う
では、顧客欲求を把握するためにはどうすれば良いでしょうか。
それは本コラムでも度々紹介している顧客の感情分析とマインドマップによって可視化します。2024年9月21日時点の大谷選手の場合の顧客欲求を科学します(※下の画像を参照)。まず、感情分析で「大谷翔平」で解析すると、30日データのポジティブ感情の割合は84%、24時間の割合は85%となります。
人間は感情に強く左右される生き物であり、その感情は日常生活の様々な行動に影響を与えます。特に消費行動においては、ポジティブな感情が高まると消費が加速し、逆にネガティブな感情が高まると消費が抑制される傾向があります。
例えば、喜びや高揚感を感じる時、消費行動が活発になる傾向が強いです。給料日やボーナスを受け取った後、気持ちが高揚し「自分へのご褒美」を購入する・旅行先でお土産や普段よりもちょっとだけ贅沢な食べ物を食べるなど消費行動を加速させます。
一方、不安など負の感情が強いと、消費行動が減速します。例えば、失恋やイライラなどで気分が落ち込んでいる時、積極的に買い物をする気分にはなりづらいです。特に高価なものや不要なものを購入する気持ちが起きません。
だから、顧客欲求がポジティブ感情に振れているのか、ネガティブ感情に振れているのか見極めることが重要です。全ての新台を含む遊技機がポジティブ感情ではないのです。それを分からずに情報発信するから、お客様は反応しないのです。
では、次にポジティブ感情だと分かった場合に、どのような内容なら響くのかをマインドマップから導き出します。例えば、「大谷翔平」と検索した方は添付画像の検索キーワードを調べていることが分かります。マインドマップとは直訳すると心の地図です。心から検索したい気持ちが沸き起こり、それが枝葉に分かれて顧客欲求に現れます。だから顧客欲求に適合させるために、伝える内容を見定めるのです。
顧客欲求のポジティブ感情が高くて、マインドマップの可視化から伝えるものを練り上げます。当社が運営しているデザイン定期便もまさにこの理論から広告を企画しています。
是非、あなたのお店も顧客欲求に寄り添う情報発信に変革することをおすすめします。
【お知らせ】
ジャグラーのデザインと言えばデザイン定期便
https://www.uriba-design.com/
◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。