【コラム】話題機や他機種導入の際に埋もれてしまう機種の存在

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少し前になりますが、6月3日週のパチスロには『聖闘士星矢』をはじめ、5機種以上もの新台が導入されました。導入当初の機種評価は前作も人気機種であった『星矢』が高く、それに続き『ToLOVEるダークネス』、ちょっと落ちて『防振り』というような評価だったと思います。

その評価は時間が経つにつれ変わっていきました。業界内での評価を表す指標として、中古機の相場価格があります。その中古相場を見ても分かるように現在では『ToLOVEる』が頭一つ抜け、『防振り』と『星矢』が同じような評価をされるように変わりました。

機種ごとに見ると、『ToLOVEる』は高い評価を維持、『星矢』は高評価から評価が下がっています。この2機種の評価の変わり方は良くありますが、『防振り』は導入当初の低い評価から、時間経過とともに評価が上がっております。機種の評価が上がることは稀であり、そのような機種をいち早く見つけることで、業績にも大きく影響していきます。

『防振り』のように、導入後の評価は低くても、時間経過につれ評価が上がる機種が出てきやすいタイミングというのがあります。それは多くの機種が同時に導入される場合や、超話題機が多台数導入されるタイミングです。今回の『防振り』も5機種以上が導入され、且つ『星矢』という超話題機が同時に導入されたタイミングでした。

では、なぜ『防振り』のような後から評価が上がる機種が登場するのか、プレイヤー視点からメカニズムを説明します。機種の評価とは「その機種を遊技したいと思うプレイヤーの多さ」になります。

新台として導入されると、版権や話題性等の事前情報から、プレイヤーは遊技したいかどうかを判断します。そしてプレイヤーは実際に遊技をした後、その機種を面白いかどうかを感じ、再び遊技したいかどうかを判断していきます。

多くの新台が導入された際、プレイヤーが遊技したい機種の優先順位は前評判の高い「話題機」となり、それ以外の機種が遊技されるのは、話題機を遊技できなかったプレイヤーや、話題機に飽きてしまったプレイヤーとなってしまいます。

そのため、『防振り』のような3番手以降の機種は、新台を遊技するプレイヤーが分散し、そして優先順位も下がってしまうため、どうしても遊技するプレイヤー数が減ってしまうのです。

遊技すればプレイヤーに面白いと気付いてもらえるのですが、導入当初は遊技するプレイヤー数が少ないため、気付いてもらえず、一定数のプレイヤーに「面白い」と気づかれるまでに時間が掛かってしまうのです。

新台はどの機種も同じ条件で導入される訳ではなく、タイミングによって条件は変わってきます。しかしながら、業界での新台の多くの評価はその条件まで考慮されていません。そこにギャップが生まれます。その条件を考慮することで、埋もれている機種をいち早く見つけ出せるのです。

◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役

2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。

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