2022年、厚生労働省の認可を受けて設立された業界初の総合型企業年金基金「遊技関連企業年金基金(YUKiN/ゆうきん)」。会社側および従業員双方にメリットがある実態の認識が広まるにつれ導入企業が拡大し続けており、この4月には、60社導入、加入約5,000人に達した。あたらめてその特長を検証してみた。
従業員の加入はあくまでも任意
まず、『ゆうきん』の大前提になるのが、従業員側の加入はあくまでも任意であるという点。そして、掛け金は元本が保証されているところだ。
この2つだけでも、従業員側にとってはかなりの安心材料になってくるとは思うが、これに加え、給付金を受け取るタイミングは、退職時や育児介護休業時、私傷病等による休職休業時、厚生年金被保険者でなくなった場合となる。よく誤解されがちだが、60歳になるまで受け取れないということではなく、年齢は無関係となっている。
また掛け金は、1000円から設定可能というところも、気軽に始めやすく、心理的な負担を軽減している。なお、掛け金は年2回まで変更可能だ。
各種控除減少で手取り額が増加
そして、メリットの部分だが、わかりやすく結論から言うと、掛け金にもよるが、給与の額面が減っても、手取り額が増えるケースすらあるということだ。その仕組みはこうだ。
『ゆうきん』加入後は、最初に給与から天引きされる形で、掛け金を拠出→給与の額面が減少→その分税金や各種社会保険料の負担が軽減するという流れとなる。もちろん全てのケースで、額面が減っても、手取り額が増えるという訳では無いが、掛け金の設定次第で可能となる。これは、給与から引かれる諸経費が減少した結果、手取り額が増えるということなのだが、そもそも退職するまでの間の貯金を、手取りから行うか、給与から天引されるかの違いなので、天引きなら、税金や社会保険料の負担を抑えた上で、将来に対する備えもできるということになる。
マイナス面があるとすれば、社会保険料等の負担が減る分、給与金額をベースに算出される失業手当など公的支援金や、厚生年金の総受給額に対する影響があるという点だ。ただこれに関しては、自らの責任で資産形成を考える人も増加していることから、掛け金とのバランスを含め、個人の判断といえるのかも知れない。
法定福利費の減額で会社側にもメリット
一方の会社側のメリットは、従業員の社会保険料が減るということは、会社側が負担する法定福利費が削減できる点。当然、加入人数が多いほど、スケールメリットが発揮され、費用対効果は絶大なものになる。しかも、従業員の資産形成をサポートするという本質的な、従業員満足向上にも直接結びつきやすい施策ともいえるだろう。
実際、2022年のスタート時が加入事業者11社、加入者数2659人、年金資産約4・8億円だったのに対し、翌年には加入事業者28社、加入者数3831人、年金資産約11億円と驚異的な伸びを示している。さらに今年4月には、加入事業者60社、加入者数4977人、年金資産約20億円と拡大し続けているのが現状だ。
『ゆうきん』理事で、基金運営を担っているステラパートナーの遠上智之社長は、「加入企業のグループ企業にも加入して頂いています。今後は、より分かりやすさを追求すると同時に、様々なサービスを付加することで加入者の満足度を高めていきたいと考えています」という。
問い合わせ先:㈱ステラパートナー
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