失敗しない売り場プロモーション㉚(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
重要になる広告のタイミング
本年7月上旬に導入予定の『スマスロ真・北斗無双』のプロモーションを強化する時期はどのタイミングでしょうか?
検索は顧客欲求を示します。私たちは知りたいから、また欲しいから検索します。つまり、欲求がなければ検索しません。
『スマスロ真・北斗無双』は4月に突入してから徐々に検索され始めました。7月導入予定の機種にも関わらず、検索されるタイミングが新台導入機種の平均的な検索タイミングよりも早いです。つまり、欲求が他の機種と比較すると高いことが分かります。
ただし、『ジャグラーガールズ』やスマスロ『押忍!番長4』と相対比較すると検索数は低いため、4月下旬の現時点では、まだお客様に伝えるタイミングではありません。
検索トレンドを見定めて情報発信の時期を見定めるべきです。例えば、3機種の相対比較をしたグラフを見ると『ジャグラーガールズ』を2024年4月21日までは積極的に広告すべきですが、4月22日時点から飛躍的に『押忍!番長4』の検索数が増える予測があるため、4月22日時点からは『押忍!番長4』に売り場プロモーション、さらにSNS発信、WEB広告を切り替えるべきです。
つまり、素晴らしい企画を構築出来たからと言って、顧客反応が飛躍的に高まることはないのです。顧客欲求と情報発信の重なりが重要です。
例えば、以下の2つのスマートウォッチをご存じでしょうか?
右側のスマートウォッチは2003年に発売された腕時計形PHS「WRISTOMO」です。時代を先取りしすぎて当時まったく売れなかった商品の一つです。革新的であったにも関わらず、20年以上前は腕に電話機を付けたいという欲求は存在しなかったのです。しかし、2015年以降、顧客欲求と情報発信が徐々に重なり、「Apple Watch」を含むスマートウォッチは販売台数が伸び続けています。
つまり、強化したい機種だからと言って、早く伝えることが正義であるとは限らないのです。検索数の推移を読みながら顧客欲求が育った状態で、『スマスロ真・北斗無双』は仕掛けてください。
顧客欲求に適合させる
では、広告の強化タイミングを見定めた後は、次にどのような内容で情報発信すべきかを考えます。例えば、『スマスロ真・北斗無双』は現時点では、「継続率」を検索しているお客様が多いため、継続率を切り口に情報発信を行うと顧客欲求に適合した発信となります。
ただし、重要なことは、顧客欲求は日々変化します。継続率やスペックは新台導入前後では検索欲求として現れますが、導入2週間以降は継続率やスペックを調べる顧客は減り、異なる欲求に変化します。
しかし、パチンコ店では、顧客に対して射幸性を高めた情報発信にしたいという理由で、島入口イーゼルなどを活用して大当り出玉や継続率の発信を変化させず継続します。顧客欲求が変化しているのに、大当り出玉や継続率を伝えることが正しいという既成概念があり、顧客欲求を無視した情報発信に違和感を抱きます。
情報発信は科学的に実施できる時代です。私の、あなたのエゴを捨てて顧客の求める欲求にいかに適合できるのかが重要な時代です。
前述した『スマスロ真・北斗無双』の新台導入前の顧客欲求を読み取ると、継続率に対して欲求があったため、弊社が運用しているデザイン定期便というポスターの定額制のダウンロードサイトでは導入前の顧客欲求を体現するように努めています。導入後のデザインは継続率を抜いたものを作成しております。
情報発信のタイミングも、情報発信の内容も顧客の欲求に寄り添うことが大切です。
【お知らせ】
スマスロ真・北斗無双のポスターが豊富なデザイン定期便
https://www.uriba-design.com/
◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。