【コラム】遊技機業界のレピュテーションリスク対策について

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レピュテーションリスクという言葉をご存じでしょうか。レピュテーションリスクとは企業の評価や評判が悪化することにより、損失が発生するリスクのことを指します。一般的な企業では、製品やサービスに関するクレーム、経営陣や従業員の不祥事、コンプライアンス違反などによって高まる問題です。今回のコラムでは遊技機業界で最も身近な「遊技機」に焦点をあてて最近のレピュテーションリスク対策のトレンドについて解説していきます(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。

遊技機によるレピュテーションリスク

近年はSNSを中心としたメディアの発達により、新台導入初週で多くの実践系の動画があがり、またXを中心に新台考察やレビュー、さらにはホールデータなど多くの情報が飛び交うようになりました。ここで拡散される情報はポジティブな面以上にネガティブな面が中心です。

特に遊技機の新台に関する情報は導入直前までは良い面が全面に押し出される一方、導入週はそれまでの抱いていたイメージと実際の挙動とのギャップが生じ、火種が起きやすくなっています。

一般的にこういったメーカー製品に関する悪い風評や炎上は当該メーカーが直接受けますが、遊技機業界の特徴として、それら製品を設置しているホール営業にもダイレクトに影響するという点が挙げられます。

そのため、これら遊技機を購入するホール関係者の方はこれまでのように単に機械の良し悪しだけでなく、各メーカーがどういったレピュテーションリスク対策を取っているか把握しておく必要があります。

最近のトレンドとしては、各メーカーが自身のメディアにて、これら火種を解消する、または事前に刈り取る発信を行うようになっています。

代表的な例をあげると、「サミー開発ボイス」「キュインちゃんねる@HEIWA(ハルルナ)」などです。これはほんの一例で、実際多くの遊技機メーカーで独自のYouTubeチャンネルや公式Xアカウントで同様の発信を行っています。

レピュテーションリスク対策についての基本は、早期発見による早期対応です。リスクとなり得る火種の発見は早ければ早いほどいいです。こういった早期の対応で炎上の火種がポジティブな方向へ変換されるケースも起きています。

レピュテーションリスクは、発生してから対応を考えるのではなく、どうすれば問題が顕在化しないか準備をしておく必要があります。

こういったリスク対策がうまいメーカーは、普段から誠実な対応でユーザーと信頼関係を築いています。これまで、メーカー独自の発信媒体はあくまで販促目的であり、打ち手とは一線を置いた存在でした。それが近年では打ち手の声を拾いながら発信を行うように変わってきているのも大きな特徴です。

さいごに

最近は新台の数も多く、短期間でトレンドが変化します。流行るだろうと予想していた機種が、蓋をあけてみると思った通りに動かないケースも珍しくありません。

もちろん遊技機メーカーは、市場に受け入れられる良い機械をリリースする事が第一に求められますが、もう一方でこういったレピュテーションリスク対策が事前にどれだけできているかについても重要であるという事です。

ホール関係者の方々にとっても、自店のお客様に安心して遊技していただくためにも、この点を押さえておいていただければと感じます。


◆プロフィール
ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表

発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536

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