【レポート】ステマ規制、その後 
線引き難しく、情勢に不透明感

投稿日:2023年12月22日 更新日:

10月1日からステマ規制が施行されたが、一方で広告宣伝ガイドライン(第2版)は、未だ内容が固まっていない。やや不透明な現状であり、ホール現場は暗中模索といった様相だ。

ホール→晒し屋
案件数は半減

ステマ規制の施行から、早くも2ヵ月余りが経過した。今年10月を前後して、業界は確実に“晒し屋”包囲網の強化に努めている。ステマ規制施行に先立つ9月25日には、ホール業界4団体が、ホール営業の広告宣伝について不適切な事例(禁止とする広告宣伝第2報)をまとめ、ステマ広告を禁止事例に追加した。具体的な文言は「第三者にホールの設定情報等を提供した上で、店舗は無関係の体裁をとりながら、SNS等において設定状況をうかがわせる表示を第三者に行わせることも、同様の理由により禁止とする」で、いわゆる“晒し屋”を利用した広告宣伝に否定的なスタンスを示している。

ではステマ規制施行後、実際にホールの広告宣伝に変化は見られたのだろうか。ある広告代理店関係者は「9月25日の通達後、ホールが晒し屋に依頼する案件の数はざっと50%ほど減少したのでは」と話す。また別のホールコンサルタントも「第三者に依頼する広告案件をペンディングしているケースが目立つ。ただし、集客や稼働に悪い意味で影響を与えていることは否めない」と印象を述べる。

風適法に加え、景表法の観点からも不適切とされるステマ広告と距離を置くホール企業が増えた一方、根強くステマ広告を利用するホールが存在することを感じさせる声もあった。以下は都内ホール関係者のコメントだ。

「競合ホールの事例だが、10月以降、以前とは手法を変えて晒し屋を使っている。例えば公約系のイベントで、これまではパチスロコーナー全体の数十パーセントが設定5、6と晒していたものが、今は数字を出さずに、「数十パーセントが“全系”(設定5、6の意味)」といったように表現を変えている。分かる人には分かるといった内容で、ユーザーは晒し屋のそうしたつぶやきを見て、過去の投稿をさかのぼり、この日はアツいんだなと思わせるようになっている。そういう意味では、晒し屋を活用しているところはまだまだある印象だ」。

また前述の広告代理店関係者は、晒し屋への案件が確実に減っていることを認めつつも、晒し屋が発信する情報自体には大きな変化が見られないと指摘する。「ホールからの依頼が無いにも関らず、あえてホールの出玉情報を載せるケースもある。ホールの関与はなく、あくまで自発的にホール情報を発信しているアカウントという印象を高めるためだ」と説明する。

事前に指摘された通り、ステマ広告は、外からの判別が非常に難しい。例えば、あるホールの出玉状況を、第3者のあるSNSアカウントが発信しても、それがステマ広告かどうかは当事者以外、分からない。そして分かりにくいという特性を逆手に取り、これまでステマ広告に頼って集客を維持してきたホールほど、抜け道を探す可能性も十分に考えられる。また、一部の晒し屋アカウントは上述の通り、情報の発信量自体を落としていないという。そのため、状況が是正方向に向かっているのか何とも評価しがたいのが現状だ。

根強い脱法行為
警察庁は苦言

こういったホール業界の広告宣伝の現状に対し、警察庁はあまり良い顔をしていない。11月7日開催の余暇進秋季セミナーで、警察庁生活安全局保安課の坂ノ上圭佑課長補佐がホールの広告宣伝の現状について苦言を呈した。

「ガイドラインを理解していない、またはあえてガイドラインを潜脱する形で行っているものが見受けられる。この状況が続けば、ガイドラインがより制約的なものとなり、広告・宣伝の選択肢が狭まることで、業界全体にとってマイナスになることも懸念される」。

ステマ広告についても坂ノ上課長補佐は、「風営法の観点だけでなく、景品表示法の観点からも問題。業界は、どのような広告宣伝が業界にとって中長期的にプラスになるのかを考え欲しい」と、広告宣伝の健全化を要請した。

この発言に対し、業界関係者は危機感を高めた方が良いだろう。昨年末を境に、過去10年余の非常に厳しい運用方針から見直しが進んでいる広告宣伝だが、その良い流れにブレーキがかかる危険性も十分にはらんでいる。仮に坂ノ上課長補佐の講話の内容に合った通り、広告宣伝の選択肢が狭まることになれば、業界的には大きなマイナスだ。この点、ホールや関係者は今一度、理解する必要がありそうだ。

11月7日開催の余暇進秋季セミナー。警察庁生活安全局保安課の坂ノ上圭佑課長補佐はホールの広告宣伝について「今の状況が続けば、ガイドラインがより制約的なものとなる」と苦言を呈した。

ガイドライン(第2版)
細部で最終の詰め

一方で、ホールからすれば、広告宣伝について、どこまでがOKでどこからがNGなのか、依然として分からないというのも事実である。そして、第3者に依頼する広告宣伝を含め、違反の有無の線引きをより明確化するのが、業界団体内で作成する広告宣伝ガイドラインだ。しかし、その第2版については、未だもって内容が固まっていない(※12月4日現在)。第2版では、インフルエンサー等、第3者に依頼する広告のOK事例とNG事例がある程度、線引きされると言われていることもあり現在、その内容に多くの関係者の注目が集まっている。

ガイドライン策定の進捗状況について、ある業界団体関係者は「SNSを使った発信について、ある程度の制限を設けるべきという層とそうでない層、ケースバイケースで考える層など、それぞれの思惑にグラデーションがある。正直、満場一致という形で1つに意見をまとめることは出来ないと思う」と吐露する。

当初は、今年夏から秋にかけて改定される見込みとされていた広告宣伝ガイドライン(第2版)だが、線引きが難しいという特性を有するステマ広告関連の規定も盛り込む予定であるが故、運用ルールへの落とし込みにも苦慮している様相がうかがえる。

ホール業界4団体は9月25日、ホール営業の広告宣伝について不適切な事例(禁止とする広告宣伝第2報)をまとめ、ステマ広告を禁止事例に追加。現在は、細部についての線引きが焦点となっている。

自社発信力の強化
今後の課題に

未確定の部分は残るものの、近日中に広告宣伝の運用ルールの明確化が進む見込みにある現状。各ホールはどのような方針を立てているのだろうか。

都内のあるホール関係者は「業者に流すコストを出玉に回し、実際に設定を入れていれば、本当の第3者が放っておいても勝手に発信していくだろう。それは違反ではないと思う。今は何かしら新しいツールを模索しており、原点回帰で、メールを使った情報発信を行っている。使い方は、LINEと同じ内容をメールで打っているだけだが、LINEの利用コストが上昇していった場合、利用価値は高まると思う」と話す。広告宣伝のコストを抑え、その分、出玉還元で集客を図るという考えだ。

一方、別の都内ホール関係者は、第3者に依頼する広告を継続する方針は変えないものの、新しい運用基準を想定し、演者来店イベントの方法を見直す考えだという。

「例えば、Aさんは『北斗』の人、Bさんは『ジャグラー』の人といったようなイメージを付けて、この人が来店すればこの機種がアツいといったことをユーザーに感じてもらおうというやり方だが、ガイドラインに抵触しないのであれば、コスパも良いため今後、ホールとしては活用しやすいと思う」。

当然のことながら、方針はホール毎で異なるし、ルールの明確化が先のことである以上、トレンドの予測も難しい。あくまで現時点ではとなるが今後、晒し屋の利用などステマ広告を中心に「第3者に依頼する広告宣伝が今よりも難しくなる」と想定している関係者が多かった。こういった背景もあり、ある広告代理店関係者は、自社の発信力の強化を推奨する。

「ステマ規制の施行により、ホールはまず、自社のリスクを考えなければならない。消費者庁は消費者を守ることが役目だ。企業が正々堂々と行う広告宣伝に対し、消費者は悪い印象を抱かない。また、自社の発信力の強化も当然のことながらコストは必要だが、長期目線だとコストパフォーマンスは悪くない。具体的に、これから何か仕掛けるのであれば、自社ユーチューブ、TikTokのショート動画(短尺動画)の強化がおススメだ。若年層との相性が良く、かつパチンコホール業界では確立されていないことがその理由となる」。

ステマ規制により変わる広告の潮流の中で、ホール業界は新しい広告宣伝の道を探求する局面に立たされている。

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