【レポート】シリーズ重ねる度に直面する「初代機超え」の難しさ

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北斗の拳、エヴァンゲリオン、牙狼、ルパン三世…etc。パチンコ・パチスロには様々なシリーズ機が存在する。そんな中、シリーズ最新作が登場するたびによく聞かれるのが“初代機の方が良かった”という言葉だ。今回は、初代機超えがなぜ難しいのか、その理由と最新の遊技機市場に迫る。

開発する側の苦しみ
高すぎる初代超えの壁

突確(暴走モード)搭載の『新世紀エヴァンゲリオン』、継続率82%×ALL15ラウンドの『牙狼XX』、Cタイプでパチスロ史上最大セールスを記録した『北斗の拳』…。初代機が当時のユーザーに与えたインパクトは凄まじいほど大きかったに違いない。

初代機のヒットにより、これら機種はシリーズ機として毎年のように新機種が登場してきた。最新作の名に恥じぬよう、新たなスペックやゲーム性を搭載してリリースされるが、大半が業績や評価が振るわないケースが大半を占める。なぜなのか。

業界事情に詳しいコンサルタントは、ターゲット設定にズレがあると指摘する。「初代機の壁の高さは、開発した側の苦しみ。ただ、1回受けたら、反省のないまま次作以降を開発する体制があることも事実。時代に合わせて、初代を遊技していたユーザーの年齢や嗜好は変わっていく。その時々に合わせた仕様を考え、うまく初代機に落とし込んでいくことが必要になる」と話す。
初代機の当時と現在ではもちろん規則が異なる。4号機の時に主流だった最大711枚獲得や、パチンコのマックスタイプのような出玉性能の実現は難しい。現行規則の下、これらをどこまで再現できるか、開発の腕の見せ所と言えそうだ。

『スマスロ北斗』が
初代踏襲で大ヒット

このように、様々な要因から初代を超えるインパクトを残すことが難しかったが、その状況を一変させたのが、今年4月に市場導入された『スマスロ北斗の拳』だ。パチスロ市場で歴代ナンバーワンの販売台数(約62万台)を記録した初代『北斗の拳』のゲーム性をスマスロで完全再現し、20年ぶりの復活という話題性もあり、瞬く間にホールにおける主力機種に躍り出たことは記憶に新しい。

バトルボーナスの継続率、ゲームフロー、中押し消化に加え、初代モードでは中段チェリー、モード移行、32G前兆など同機を代表するゲーム性を当時と同じ感覚で体感することができるなど、4号機世代をはじめ、幅広い年代のユーザーが楽しめる仕様が特長だ。

前出のコンサルタントは「演出面などは十分再現できるが、ゲーム性や性能は当時と規則が違うため再現は難しい。よくここまで初代に寄せることができたものだと感心したと高く評価する。

パチンコ・パチスロの
開発方針に明確な違い

『スマスロ北斗』の登場以降、メーカーのパチスロ開発の方向性は、明らかに初代に寄せている。『Lラブ嬢3~Wご指名はいかがですか?
~』や『パチスロ交響詩篇エウレカセブンHI-EVOLUTION ZERO TYPE-ART』、『スマスロモンキーターンV』などが初代踏襲をアピールしている。

あるメーカー関係者は「『スマスロ北斗』が成功してからというもの、4号機、5号機で高い人気を誇った自社機をどうにかスマスロで再現できないかを念頭に置いて開発にあたっている。古き良き時代の機種を再現することにより、パチスロ市場をさらに勢いづけていきたいと考えている」と話す。

また別のメーカー関係者は「パチスロはどちらかというと、新規ユーザーというよりは休眠ユーザーに向けた機種開発がトレンドと感じる」とする一方、「4号機、5号機時代は出玉性能が非常に高かった。再現されるとなれば自ずと出玉性能に期待すると思うが、そこばかり突き詰めてしまえば、規制強化も十二分にある。時代にあった射幸性で再現することが重要」と自戒の念を込めて話していた。

一方、パチンコにおいては『P新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~』は演出がシンプルで初代ライクな印象をもたらし、ユーザー評価は高いが、後に続くような機種は登場していない。コンサルタント曰く「パチンコはパチスロの真逆で、汚れていない(遊技機化していない)コンテンツでの開発が目立つ」という。

確かに、パチンコにおいては『ダンベル何キロ持てる?』『炎炎ノ消防隊』『機動戦士ガンダムSEED』『かぐや様は告らせたい』『ありふれた職業で世界最強』など、新規コンテンツを採用した機種が多く市場投入されている。

メーカー関係者は「パチンコの稼働が落ちているため、新規コンテンツの話題性で集客を狙っているのは事実。日工組としても若年層の獲得に注力しているため、今後も新規コンテンツとのタイアップ機を中心にリリースしていく」と話す。

また、別の関係者は「初代超えの難易度はパチスロよりもパチンコの方が高い。それならば、無理に初代超えを狙うのではなく、新規コンテンツで初代をつくってしまおうという考えもある」と打ち明ける。メーカーによって様々な思惑や狙いがあるようだ。こうした観点から今後の遊技機動向を注視してみても面白いだろう。

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