全日遊連がこのほど取りまとめた、組合店舗の実態調査によると、設置遊技機台数が、パチンコ、パチスロともに前月比で増加したことが分かった。パチンコ、パチスロともに揃って増加するのは2020年5月以来、約3年ぶりとなる。
パチスロ市場の
底打ち感は確実に
設置台数が増加したのは4月末の数値だ。パチンコ機が前月比2,758台増の196万9,439台、パチスロ機は同6,247台増の122万5,578台と、前月集計から反転し、PSともに増加した。またその他遊技機が4台減少。総台数は同9,001台増の319万5,017台となっている。
この数年は、店舗数の減少に伴い、遊技機の設置台数規模も右肩下がりの状況にあった。時折、ビッグタイトルのリリースなど、瞬発的な新台供給の増加で、PSそれぞれが前月比で増加するパターンは見られたものの、PS共に前月比で増加したのは、2020年5月以来約3年ぶりとなる。
もっとも2020年の時は、最初の緊急事態宣言が解除され、納品を見合わせていた新台がある程度まとまった規模で導入されたことが主な要因で、単にタイミングの問題だった。それ以前に、PSともに設置台数が前月比で増加したのは、少し遡ったコロナ禍前の2019年12月。これは、例年同様、年末商戦向けの新台導入が相次いだタイミングとなっている。
また今回の増加は、増台数の幅からも分かるように、パチスロ機で顕著だ。これはシンプルに、スマスロや6・5号機の支持が拡がるにつれ、自ずと市場がそれに対応していった格好で、パチスロに限っていえば、市場自体の底打ち感は確かなものになりつつある。
一方、パチンコは今回増加したものの、厳しい稼働状況が伝えられており、決して楽観視できない状態が続いている。ホール企業幹部は「大規模店はM&Aされていることが多く、店舗数の減少ほどに全体の設置台数が大きく減っていないのは分かる。ただ、パチスロはともかく、パチンコの業績は下がってきているので、パチンコが底打ちした感じはしないし、オープンのタイミングでたまたま増えただけなのではないか」という。
確かに、パチンコ稼働の先行き不安が拡がるなか、遊技機市場底打ちの判断については、しばらく様子を見る必要もありそうだ。