先日、パチンコメーカー37社で構成される日工組によって、ぱちんこ・パチスロファン、さらには新規ファンへぱちんこ・パチスロの楽しさやワクワク感を伝えるためにKIBUN PACHI-PACHI委員会が発足されましたが、一開発者の目線としても新規ファン獲得について思うところなどについて言及したいと思います(文=荒井孝太/チャンスメイト代表取締役)。
新規ファン獲得のために、遊技人口を増やすためにの施策を行うためには、何かキッカケとなる機会があるに越したことは無いと思いますから、今年4月からスマートパチンコが導入という大きなキッカケを機に大々的に宣伝を行い盛り上げて意向という思惑があったというのは恐らく間違いないかと思います。
個人的には大きく期待し、少しでも何か協力できることが無いかと考えおります。また他方で、パチンコ業界は30年以上にもわたって参加人口が減っているのは良く知られておりますが、抜本的な解決策を見出せぬまま今日に至っています。
よく言及されるキーワードとしては、「昔より勝てなくなった」「可処分所得が減って気軽に遊べなくなった」「他の娯楽も増えて選択肢が増えた」等が多いでしょうか。一方で、隣接する公営ギャンブル、特に競馬やボートレースに関しては長らく参加人口がパチンコ業界同様に右肩下がりでしたが、最近は参加者が増えてファンが増えている等の話を聞くことが増えたかと思います。
「ウマ娘効果だ!」とか「コロナ禍でネット購入中心に大きく広がった」という意見が多いのですが、実はその10年近く前の2012年頃から市場的には回復傾向にありました。その前年の2011年は東日本大震災があり、自粛等もあったため単純な自粛明けの回復だったというわけではありません。
上昇に転じた前年の2011年には従来の銀行登録するタイプのネット投票システムであるA-PAT・即PATに加え、クレジットカードを登録すればPCかスマホで馬券が購入できる新しいネット投票システムのJRAダイレクトが導入されました。
また、若者に訴求するプロモーションが始まったのも実はこの辺りの年代で、2012年と言えば当時、大人気だったアイドルのAKB48を起用したAKB競馬部を結成し、CM出演や予想対決などをして注目を集め出した時でもあります。実はコロナ禍やウマ娘は、爆発的な要因となった一つのキッカケにしか過ぎないのです。
一方で、宝くじでは1等当選金の増額、競馬では3連単やWIN5の導入など公営ギャンブルにて射幸性を上げる施策を過去幾度となく行ってきたわけですが、売り上げへの寄与やヘビーユーザーの満足度を高める施策としては一定の効果はあったようにも思えますが、新規ファンの獲得に必ずしも寄与したとは言い切れないかと思います。
大切なのは、多様性のある提案と、単発では終わらないプロモーション活動を地道に行うことによって、じわじわと内容の浸透を図ること。そして、何かをキッカケとして爆発するようなことがあればラッキーというスタンスで愚直に努力することなのかなと思うわけです。
規則改正や内規、申し合わせ事項等に関しても、「出玉性能」部分に目が行きがちで、すぐに出玉部分に対する意見を言いがちで、要望や要求を出しがちなのですが、出玉とは一切関係ない遊技性能改善やゲーム性、表現方法などに関しても、諸般の事情で遊技者の要望を叶えることができないことは数多くあります(イヤホンジャックや遊技機のBluetooth接続なども現行では実現は非常に困難です)。
この辺りについても広く議論を行い、よりユーザー満足度を高めていく施策というのが、今の開発に求められているような気がいたします。
◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。