全国的に導入がスタートしたスマートパチスロ(以下スマスロ)が良くも悪くも話題に上がっている。『HEY!エリートサラリーマン鏡』の導入が始まり、市場に登場したスマスロは計4機種。そして、少なくとも来年3月辺りまでは、新しいスマスロ機の登場もほとんどないと見られている。
『パチスロ 革命機ヴァルヴレイヴ』について
現状、スマスロの中心にいるのは『パチスロ 革命機ヴァルヴレイヴ』だ。SNSでは導入数時間での万枚報告が多発し、パチスロユーザーのみならず、業界人の興味も同機に集中した。
基本的な仕様は「超革命RUSH」を目指すゲーム性で、「超革命RUSH」突入時に有利区間が切れ、RUSH90%以上のループを実現させている。1日数回引くうちにどこかで爆連させれば、大量出玉獲得へと繋がる。5号機以降、これほどまでの瞬発力を持った機械はなく、現状ではまさしくオンリーワン仕様と言えるだろう。
個人的には「よく適合したな」と思うレベルで、業界人の多くはそのカラクリに興味が湧いたところだろう。その片鱗が2日目以降のスランプグラフで見て取れるように、非常にマイルドなゲーム性になるモードの存在が明らかとなっている。
非常にマイルドなゲーム性になるモードの場合、CZ突入ポイントは浅めでCZ突破率が激高、ボーナス中は通常同様にRUSHを目指すフローで「革命RUSH」を狙う。しかし「革命RUSH」に突入しても継続率は激低という内容だ。
なので、必然的に穏やかな波を作り出し、±2000前後で収まってしまう事が多い。その割合はどのぐらいなのかまだ不透明ではあるが、不安材料である事は間違いない。しかし、そのネガティブ要素を上回るポジティブ要素の出玉性能といえる点から当分の間は高稼働で推移していくと推察される。
『HEY!エリートサラリーマン鏡』は…
12月5日からホールデビューする『HEY!エリートサラリーマン鏡』はスマスロの本命機と噂されている。実際にホールからの需要は高く12月2万台、来年1月に1万台の計3万台ほどが市場に投入されると言われている。
さて、同機はどうなのか。まずは仕組み的なところから説明しよう。今回の鏡は前作のHEYポイントによる抽選ではなく、通常時は「ゲーム数」「レア役による抽選」「CZによる抽選」によりボーナス(一部AT)を放出、ボーナス中にATを抽選する王道なゲーム性となっている。全体的なフローは同社のサラリーマン番長シリーズと似たゲーム性にマップ抽選を無くしたタイプと思われる。
打感的には王道のAT機といえ、『ヴァルヴレイヴ』『刃牙』のように有利区間が切れた先にロマンは設けていない。切れても約52%でATを引き戻す程度で爆発契機とはなっていないわけだ。その分、切れるまで吸い込み続けるため、マイナスになればなるほど一撃性の幅は広がっていき、ハマり台の魅力が上がっていく仕様ともいえる。大ハマリからの絶頂ドリームやエクスタシー突入は激アツと言えよう。
今後のスマスロ市場
現状、12月の『HEY!エリートサラリーマン鏡』以降に新しく登場する予定のスマスロ機は決まっていない。噂レベルでは来年3月頃に第2弾のスマスロ機の販売が行われると言われているが少なくとも3月までは、この4機種のみとなる。来年1月、2月に色々なスマスロ機が登場してくれば、かなりの盛り上がりが期待できたところなのだが…。
さて上記の通り、今後のスマスロ機は『ヴァルヴレイヴ』『刃牙』のような“有利区間が切れたらアツい”仕様か、『鏡』のような“有利区間が切れにくい”仕様の2パターンの機種が登場してくると思われる。どちらのタイプが市場のニーズを捉えられるのか注意深く見て行きたいところだ。
最後に来年のスマスロ機の導入状況を予測してみよう。
今ある情報や実績の中での予測となるが来年末の導入シェアは25万台程度と思われる。意外と導入されないと思うだろうがスマスロ機には専用のユニットが必要であるのはご存知だと思う。結局はそのユニット次第なのだ。ユニットはスマパチ機にも必要であり、来年の4月以降はスマパチ用のユニットが優先されるという話もある。
ユニット自体は来年末に50万台程度は生産されると見込まれている。そのため、スマスロとスマパチで半々と考えると25万台となるわけだ。もちろんユニットは共通なのでスマパチ用をスマスロ機に活用すれば、スマスロ機の設置台数は増えるだろう。
6号機になり、低迷していたパチスロ市場が6.5号機の登場から良い流れでスマスロに繋げられた。来年のパチスロ市場の回復に期待したいところだ。
◆プロフィール
長谷川豊(はせがわ ゆたか)
アールイーサーチ㈱代表取締役。2017年3月に同社を設立。遊技業界内の情報収集および分析、遊技機の開発コンサルティングを中心に、遊技機業界に特化したマーケティング業務を行っている。