【ダイナム55周年特別インタビュー】守りだけでなく、企業成長に舵を切る/保坂明代表取締役社長

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今年7月25日に創業55周年を迎えたダイナム。チェーンストア理論に基づく多店舗展開をはじめ、低貸玉業態の推進、PB機の開発製造、香港市場への株式上場など、業界のリーディングカンパニーとして、様々な挑戦を続けてきた同社がこの先、どのような成長ビジョンを描いているのか。2020年6月から代表取締役を務める保坂社長に聞いた。

カリスマ経営者が牽引した半世紀

──貴社は今年7月に創立55周年を迎えました。この間、様々な取り組みに挑戦されてきましたが、改めてこれまでの社業を振り返ってみて、想うことは何でしょうか。

ダイナムに入社してまだ28年目ですので、すべてを知っているわけではありませんが、安泰な55年間ではなかったと思います。全国展開していくなかで、業績が悪化したこともありました。そうしたこれまでの半世紀は、佐藤洋治、佐藤公平という創業家の圧倒的なリーダーシップに引っ張ってきてもらった歴史だったと思います。

──2020年にその創業家が経営の第一線から退かれました。その影響や変化などはありましたか。

なかなか答えづらい質問ですね(笑)。実際に創業家から社長が交代したのはその6年前で、その頃から世代交代を意識したプロパーの若手が役員に登用されていました。それまでは、トップダウンで動いていたり何かを決定する際もお伺いを立てて物事を進めていたという一面があったのですが、トップ自らが一歩引いた事で、自分たちで考え行動しなければならなくなったというのが一番大きな変化だと思います。

今思えば、コロナ前はまだ安定期で大きく変革しなくても何とかなっていましたが、自身が就任した年からコロナの拡大に伴い市場が一気に縮小し、完全分煙化対応や旧規則機の撤去対応も重なり大きな判断の連続であり、なかなか難しい舵取りが求められました。

──56年目の今年は、スローガンに「顧客第一主義の原点回帰」を掲げています。スタンダードなスローガンという印象ですが、これを掲げた狙いとは?

「顧客第一主義」は弊社の企業理念の中の経営方針の一番目に書かれています。

今年、改めてスローガンとして掲げた理由は従業員の働き方や意識変革を求めたものです。パチンコ店は装置産業ではなくサービス業だと考えています。また、時代の変化とともに、過度な射幸性に頼った営業はできなくなりました。

そういう背景の中で、営業の答えはホールにあり、お客様を起点とした営業の重要度が増していると考えます。

例えば、機械の入替計画にしても、事務所でデータだけで判断するのとホールで実際に遊技されているお客様を観察して判断するのとでは答えが変わってくると思います。

チェーンストア経営の標準化や分業・マスメリットやデータ重視の営業を進めてきましたが、ベースはあくまでもホールでありお客様を起点に考えていく事が必要です。

そのために、階層別の業務内容や評価制度の見直しをコロナ前から進めてきました。まだまだ、浸透できていないので改めて今期のスローガンに掲げる事で全員のベクトルを揃えていきたいと考えています。

──店舗数については以前、1,000店舗を目標に掲げていました。今後の目標はどう考えていますか。

ダイナムのビジョンはパチンコを大衆娯楽にする事です。その為にチェーンストア経営を行い、使う側、これはホールでありその先のお客様の立場に立った商品開発が必要になります。

しかし、ホール業界はトップ企業であってもシェアは数%であり、メーカーに対する影響力は強くありません。これを他業種のようにお客様に最も近い立場である店舗の意向を反映した製品を製造してもらう為には、まずは少なくても「シェア1割」当時は10,000店舗ありましたので、1,000店舗を目標に掲げました。

ですので、数字ありきではなくメーカーに対しても影響力や交渉力を持てる立場になる事が重要だと捉えています。

今のところ、改めて店舗数の目標を立てる考えはありませんが、業界の構造を変えていく、これはどちらが上か下かという事ではなく、お客様が再び増加し業界が発展していくためには、引き続き使命感を持って取り組んでいきたいと思っています。

──先の決算ではコロナ禍で営業収入が7割程度になりました。店舗運営で見直していることはありますか。

コロナを理由に足が遠のいたお客様に再来店いただくことは、コロナの完全収束は見えませんし、これだけ時間が経過してしまうと行動変化が定着してしまい難しいと思います。

そうなると、商圏にいるお客様の取り合いになる訳ですが、当然他の店舗さんも同じように考えており、消耗戦になってきます。収入が落ち込んでいる中での消耗戦を生き抜くには、支出を今まで以上に抑えていく事が必要になります。

これまでも推進してきたコスト削減や業務改善も数年経てば陳腐化してくるものもありますので、常に見直しを図っていきたいと考えています。1店舗では1時間の改善であっても、それが400店舗×365日となると効果は大きくなります。

──飲食業のチェーン法人のなかにはコロナ禍で営業時間の短縮や店舗閉鎖に踏み切るケースも見られます。

ホールの営業時間の短縮は、コスト効果よりも売上減のほうが大きいと思っていますし、弊社の基本方針は、様々な方々がいつ来店されても営業している店舗ですので、時短は考えていません。

店舗のクローズについては、コロナ禍で何店舗かは閉鎖しましたが、今はまだ我慢の時期と捉えている部分もありますし、弊社としてはパチンコを日常の娯楽にするというビジョンを具現化するためにも、地方へ行けばいくほど娯楽が少ない中ではパチンコホールという存在を残していきたいと考えており、新規出店やM&Aも含めて営業は続けていきます。

──その新規出店では今年4月に「鹿児島伊集院店」をオープンされました。これからの店舗づくりはどのようにお考えですか。

「鹿児島伊集院店」はカフェスペースをかなり広く取りました。もともと居抜き店舗で広い飲食スペースがあったこともありますが、あの商圏にはナショナルブランドの飲食店がほとんどなく事前の商圏調査でも気軽に飲食する場が少ない、という声も多かった事から営業面積から外してお子様連れでもご利用できるようにしています。

今後の店舗像としては「遊技目的だけでなく、人が集まる場」「滞在する時間価値を高めていく」といった方針を推進していきます。

今年4月にオープンした《鹿児島伊集院店》。カフェスペースを充実させている。

──昨年にリニューアルオープンした茨城県の「イオンタウン水戸南店」もそうしたコンセプトを掲げて、カフェスペースを拡充させていました。

コンセプトとしては同じです。ホール一体型でそういう場をつくるのか、もしくは当社の場合、立体駐車場ではなく、広い平面駐車場がありますので、そこを有効活用して複合的にするのか。やり方はいくつか考えられますが、いずれにせよ、パチンコをしなくても、地域の人たちが集まれるような構想は考えていきたいと思っています。

スマート遊技機は積極的に推進

──PB機の開発もこれまでの御社を代表する取組みの一つです。今後の方針はどうお考えですか。

2つの柱で進めています。一つは遊技台価格の低減を目的としたNB(ナショナルブランド)機のスペック替え、OEM的な開発です。趣旨に賛同いただける法人様と共同購買を行う事で、ロットが増えれば更に価格面に反映できると思います。

もう一つは完全オリジナルのPB機です。ダイナムにしか設置していないという事で差別化もできますし、もう一つ大きな目的は射幸性一辺倒にならない娯楽としてのパチンコ機を開発し長く活躍してもらう事で、ホール側は機械投資を抑制しお客様も安く遊べるというWIN–WINな機械を開発していきたいと考えています。

いずれにしても、メーカー様の協力があっての取り組みですので、三方良しとなるように取り組んでいきたいと考えます。

──この秋から登場してくるスマート遊技機については、どのように捉えていますか。

正直まだ見えないところが多いのですが、この話が出たときから、全面的に協力もしていますし、積極的に推進していくスタンスです。このスキームによって、インとアウトがクリアになれば、業界が抱えている課題解決の入口になると捉えています。例えば、依存問題の解決や制限の多いゲーム性の改善といったところには期待を持っています。

──社会貢献活動に対しても積極的に取り組んでいます。

もともと地域活動は取り組んでいましたが、コロナ禍でのバッシングで、なおさらその想いは強くなりました。タバコと同じで、やらない人からすると「なくてもいい」、「社会悪」という風に見られますが、ただ、納税や雇用への貢献もそうですし、楽しんでもらっている人からみると「なくてはならないもの」です。

弊社は「パチンコを地域のインフラにする」という事を掲げていますが、そこまでになるには時間が掛かるにしても、第一ステップとして、非ユーザーの人たちにとっても「パチンコはあってもいいよね」と、認めてもらえる存在になることが大事だと捉えています。

昨年からは、店舗が営業させていただける地域への貢献に重点を置いた活動を強化しています。

居抜き出店やM&Aで再成長へ意欲

──最後に今後の抱負をお願いします。

就任したときからコロナがあり、コロナに対して会社を継続させていくことに注力した2年半でした。この先、コロナがなくなるかと言うとそうではないでしょう。コロナがなくならない前提で、「コロナだから」ではなく、「コロナだけど」という意識でやっていきます。

また、この2年は会社としても「守り」にかなり注力していました。これからは守りだけでなく、企業成長に向けて舵を切っていかなければいけないとも思っています。

業界や会社の将来に不安を抱えている従業員にとっても、出店や成長が希望になります。業界は厳しいときですが、チャンスでもあります。居抜き出店やM&Aによって企業規模を拡大しやすい状況でもありますので、目に見えるかたちで具現化していきたいと考えています。

保坂明(ほさか・あきら)
1995年4月に新卒で入社し、店舗スタッフから始まり、ストアマネジャー、関東地方・九州地方・東北・北陸地方などのMD・エリアMgr・ゾーンMgrなどを歴任。経営企画部長・取締役を経て、2020年6月に代表取締役に就任。49歳。
趣味はトライアスロン、スキューバダイビング、オートバイなど。

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