今までパチスロユーザーの集客ツールとして、ある種万能だった「甘い技術介入機」について考えてみます。今後も重要な役割を果たしてくれるのか?そのメリットとは何かについても含めて考察してみましょう(文=三木貴史/エスサポート代表取締役)。
集客効果のための
機械割が甘い機種
苦戦が続くパチスロ市場において、集客ツールの一つとして思いつくのが、いわゆる「機械割の甘い技術介入機」でしょう。直近では、ビタ押しによる技術介入で機械割が甘くなる機種として『キャッツ・アイ』と『パチスロピンクパンサーSP』が登場しました。
登場から1ヵ月弱経過しましたが、その実績は対照的なものとなっています。『キャッツ・アイ』はビタ押しの難易度が高いのか、コイン粗利は50銭を超えるなど非常に辛く、全国的に稼働が厳しくなってきました。
反対に『ピンクパンサー』は、ビタ押し成功率が高く、出玉率100%を超える日も多く、稼働が好調な期間が続いています。技術介入の初心者向けに「プラクティスモード」といったカスタマイズ機能を搭載している点も、支持を獲得している一因でしょう。
このような技術介入機は、甘ければ稼働しますが、辛ければ稼働しないという“粗利と稼働が両立しない”機種であり、先述の2機種はまさにその事を裏付ける結果になりました。弊社では以前から、“ボーナス主体の技術介入機をパチスロ設置台数の10%”ほど保有することを推奨してきました。現状でこの条件に当てはまる、技術介入機の設置機種候補は、
『パチスロディスクアップ2』
『新ハナビ』
『バーサスリヴァイズ』
『SLOTマッピー』
『パチスロガメラ』
『パチスロひぐらしのなく頃に祭2』
『いろはに愛姫』
『キャッツ・アイ』
『パチスロピンクパンサーSP』
の9機種になると思います。これらを組み合わせて、設置比率10%程度の台数を確保できればと思います。もし、総台数200台のホールで9機種から設置台数を決めるとするなら、私ならば
『ディスクアップ2』:4台
『新ハナビ』:4台
『バーサスリヴァイズ』:4台
『ピンクパンサー』:2台
『ガメラ』:1台
『マッピー』:1台
以上の合計16台を設置します。設置比率は8%になりますが、これ以上の台数は不要だと考えます。『ディスクアップ2』、『新ハナビ』、『バーサスリヴァイズ』は定番機で、客数も多く、4台ずつでも安定稼働になると思います。
『ピンクパンサー』は目押し手順が最も簡単で客層も広いため2台としました。この機種は、現状では全国平均の設定1の実出玉率が100・2%となっていますが、これから更に甘くなることが予想され、これ以上台数を増やさない方がいいという判断です。
『ガメラ』は直近稼働が低調で、複数稼働を設置しても安定稼働が見込めないため1台だけの設置としました。『マッピー』は、全国平均の稼働は1万枚を超えていて優秀ですが、複数台設置しているホールでは稼働が厳しい傾向が見て取れるため、1台が適正と考えました。
『キャッツ・アイ』、『ひぐらし』は実出率が低く、コンセプトからずれるため設置は見送るといったイメージです。
最後に『いろはに愛姫』はフル稼働が見込めますが、台粗利で8,000円前後の赤字が想定されるため、お勧めしていません。同機を設置する場合は、朝一の入場で毎日抽選を行うなど、特定客に占拠されない工夫が必要だと思います。
また、8,000円の赤字を回収するためには、『いろはに愛姫』1台に対して、朝一の入場抽選に4~5名が並ぶ集客が必要となります。もし、5台設置するなら、その5台を目当てに、朝一から20~25人程集めるだけの効果が欲しいところです。それだけの集客効果が無ければ、赤字から黒字に転換することは非常に難しいため、設置には賛成できません。
甘い技術介入機の
メリットが薄れる?
先述した、甘い技術介入機を設置するメリットとしては、
①安定した稼働
②長期設置による機械代の節約
③店を選ばない稼働
④夜の時間帯の高稼働
⑤設置している好印象
の5つが挙げられます。しかし、6.5号機、スマートパチスロが登場する今後は、これらの5つのメリットにも変化がありそうです。
①の安定した稼働は、10割分岐のホールでは今後も継続が予想されますが、それ以外のホールではその稼働に陰りが見え始めてきました。甘い技術介入機は「負けない」だけで「勝てる」スペックではなく、10割分岐以外では飽きられつつあることも要因と考えられます。
②の長期設置による機械代の節約というメリットは、パチスロが低迷し、機械投資をしても効果が薄い時に、最低限の稼働をする機種を長期設置できれば効果を発揮します。が、今後6.5号機、スマートパチスロに機械投資をする局面になれば、機械代の節約に繋がらない可能性もあります。
⑤の設置している好印象については、赤字になりやすい『いろはに愛姫』なら設置しているだけで好印象になると思われがちですが、毎日のようにフル稼働して、箱を積んでいる様子を見ると、「喰われている」だけの印象になり、逆効果になりかねません。
このように今後6.5号機、スマートパチスロが盛り上がっていく中で、甘い技術介入機の存在価値は現状よりは低下していくと予想しています。本当に必要な最低台数で設置し、今後は、減台が必要になっていくこと可能性を考慮していく必要がありそうです。
◆プロフィール
三木 貴史
㈱エスサポート代表取締役
1972年生まれ。97年中央大学商学部卒業後、パチスロ専門店(神奈川県42台)にて勤務。01年〜06年グループ4店舗を統括部長として指揮、在職中より他店舗のコンサルティングにも携わる。この期間、全ての店舗で稼働平均15,000枚を継続。07年に独立し、パチンコ・パチスロホール運営コンサルタントとしてエスサポートを設立。“ホールの知恵袋”として全国どこにでも出張中。社内外を問わず行うセミナーも好評。