ダイコク電機は7月5日、ZOOMを用いて「DK-SIS白書2022年版-2021年データ-」刊行記者発表会を開催した。同白書は今年で19冊目の発刊となった。
発表会には大上誠一郎代表取締役社長、DK-SIS室の片瀬宏之室長が出席。冒頭、大上社長は「不透明な業界内においては今後の戦略を決定する際、過去のデータを参考にすることも重要。『DK-SIS白書2022年版』は、今後も適正な判断を下す上で必ず役に立てていただけると確信している。是非、活用いただきたい」と挨拶した。
次に片瀬室長が同白書の概要を解説。それによると、2021年の市場規模は総売上14.6兆円(前年比同)、総粗利2.39兆円(同0.4兆円増)となり、ほぼ横ばいに留まった。それぞれ内訳でみると、パチンコは売上8.2兆円(同1.0兆円増)、粗利1.41兆円(同0.16兆円増)と伸びを見せているのに対し、パチスロは売上6.4兆円(同1.0兆円減)、粗利0.98兆円(同0.12兆円減)と低迷。パチスロの不振をパチンコが補う構図となった。
その好調な4円パチンコでは、アウトが11,230個(前年比190個増)と横ばいである一方、粗利は2,925円(同270円増)と大幅に増加。パチスロで利益が取れないことから、4円パチンコで補完しようとする動きが顕著に数字へ反映されている。4円パチンコが前年の業績を上回るのは2008年以来、13年振りのことだという。
片瀬氏は4円パチンコ業績の中でも“遊技時間粗利”に着目。「遊技時間粗利1,240円は正月営業以上に辛い数値。しかも前年比で100円も増加した。これは2008年のパチスロ4号機から5号機へ移行した時期の増加幅と酷似している。当時はその後、12年間にわたりパチンコの業績は下落を続けた。歴史は繰り返すではないが、遊技時間粗利を見直さないとせっかく好調なパチンコがまた縮小していく可能性がある」と警鐘を鳴らした。
20円パチスロにおいては、対前年でアウト、売上、粗利など全てにおいて減少した。同様に遊技時間粗利に着目すると、パチスロは790円でパチンコと比較してかなり甘い活用がなされていたにも関わらず、アウトは減少するなど厳しさが浮き彫りとなった。ファンからの支持率が低いことから、遊技機全体に占める20円パチスロシェアも28.4%(前年比3.9%減)と減らした。主力のATタイプにおいては昨年48機種が登場したが、粗利は1,572円と5円パチスロ全盛期並みの水準、償却達成率も20%に留まった。
苦戦続きのパチスロだが片瀬氏は、「導入が始まった『パチスロ甲鉄城のカバネリ』『パチスロアクエリオン ALL STARS』『パチスロ犬夜叉』などの6.5号機の初動でいい数字が見られた。ファンが6.5号機で面白い点を探っている証拠」と述べた。
最後に片瀬氏は、業界全体の業績が良くなるための足掛かりはパチスロであることを強調。「パチスロが良くなれば、パチンコで粗利を補完する必要性が薄まり、遊技時間粗利を抑えることに繋がる。そうした意味でも、今後登場してくる6.5号機、スマートパチスロには期待している」と締めくくった。