【お盆企画】パチスロ5号機のトレンド変遷の考察(3)2011年

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2010年の『新鬼武者』によって、5号機ボーナス+ARTの最適解が見つかることとなりましたが、そこからボーナスの枚数を削ってARTの純増速度を高めるなど、様々な工夫・バランス調整がなされていくこととなりました。そんな2011年3月に『モンキーターン』が登場します。

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©河合克敏・小学館/モンキーターンプロジェクト ©YAMASA

特筆すべきは、ボーナスが搭載されていないこと。パチスロ業界は何度か同じ過ちを犯しますが、この時もそうでした。「BIGのない台は人気が出ない」と初期導入が少なかったのです。4号機時代ですが、『ミリオンゴッド』はボーナスがありませんでしたし、史上最高台数となった『パチスロ北斗の拳』もBIGは非搭載でした。ボーナスやBIGの有無よりも、その機種が面白いかどうかが大事ということですね。

ことARTのような付加機能を主眼に置くと、ボーナスがないのは理にかなっています。ARTの初当たりは、抽選対象役を引いてから演出で一喜一憂するもの。それに対してボーナスは、前のゲームまでハズレだったのに、このゲームで当たっているという即効性です。これが同居していると、ART告知まで続く壮大なストーリーが、突然ボーナスによって断ち切られることも。連続演出を重視するならば、ボーナスはなくても良いのです。

2011年は、ボーナスはなくても構わないという流れが決定的になった年でしょう。ボーナスのない『ミリオンゴッド-神々の系譜-』や、プレミアムしかない『押忍!番長2』もヒットすることとなりました。

ボーナス+ARTに完全ART機。いずれにせよ、ベースは定まりました。そうなると始まるのがスペック競争です。

5号機創世記からのアイデアが結実

ボーナスなしの機械の場合、ART1Gの最大純増は、約2.4枚となります。それを如何に越せるかが大きなテーマとなりました。そこで役立ったと思われるのが、5号機創世記に発案され、大きな成果を上げることができなかったアイデアたちでした。

5号機(6号機も)のボーナスは、BIGとREG。それに2種BBという全てを説明するには文字量がいくらあっても足りないものが存在します。

その2種BBの特徴の1つに、RTの状態を“そのまま保つことができる(選択制)”というのがあります。 RT消化中に2種BBが入賞した場合、2種BBとRTを同時に消化し、終了時にRTが残っていれば、そのRT状態から再開できるというものです。

残念ながらヒットしませんでしたが『トンdeピース』や『パチスロ秘密戦隊ゴレンジャー』など、その特性をウリにした機種も開発されました。

それを応用したのが『バジリスクII〜甲賀忍法帖』や『押忍!!豪炎高校應援團』(山佐)です。正確には『龍馬翔ける』を経ての応用ですが。

15枚払い出しで終了する2種BBを順押しで消化すると、15枚が払い出されて終了します。しかし、2種BB消化の1G目にリプレイが同時当選した場合、押し順ナビに従って逆押しをすると14枚が入賞し、次のゲームで順押しすると15枚も獲得できたのです。ART中であれば、リプレイの確率も高くなっていることも利用しました。

当時の出玉検査はこの手法を考慮していなかったので、規定よりも多くの純増速度を生み出すことができました。これにより、厳密にはボーナス込みですが、1Gあたりの純増を2.8枚近辺まで伸ばすことができました。

©山田風太郎・せがわまさき・講談社/GONZO

AT機へのアイデア

このまま完全ART機が全盛になるかと思われた2011年ですが、それを上回る可能性を示唆したのが『エージェントクライシス』でした。

画期的だったのは、純増0枚となるボーナス、通称“ゼロボ”を採用したことです。ボーナスは高確率で成立しますが、プレイヤーが揃えて良いのは告知が発生した時のみ。通常ゲームでは、成立していてもハズしながら遊技する必要がありました。

保通協の出玉試験(シュミレート試験)では、成立したボーナスを必ず揃えてくれます。そのボーナスをゼロボとすることによって、現状維持の区間が多くなり、許された出玉率の幅の中に落ち着けさせやすい。その余力は、ATやARTの出玉に回せる。と、なったわけです。

ボーナス終了後に突入するリプレイ確率の低いゲーム数固定RTを経て、リプレイ確率の高い純粋な通常時に移行する……など、技術的に複雑なことをして実現させたのですが、押し順小役も「3×3×2=12通り」の色目押し。通常ゲームもボーナスが揃わないように注意する必要があるなど、如何せんポップでなかったことは否めません。

しかし、ゼロボを採用することによって、ARTの純増を自主規制の限界ギリギリ(当時、3.0枚)まで引き上げることが可能と世に知らしめました。一つの突破口が発見されると、全メーカーで改良の工夫を施すパチスロ業界。このAT機への発想は、ここからの5号機を支えていくこととなります。

◆著者プロフィール
佐々木真(ささきまこと)
パチスロ歴30年の2号機世代のフリーライターで、2000年よりファン向け媒体を中心に活動。新システムを見ると、遊技機規則をどのように活用しているか考えたくなる性分。好きな5号機は『スカイラブ』。

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