【インタビュー】パチンコビジネスの立て直しが使命/日工組・榎本善紀理事長

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6月2日に開催された日工組の第61回通常総会で、新理事長に就任した榎本善紀氏(京楽産業.㈱代表取締役社長)。コロナ禍、旧規則機撤去の影響を色濃く受ける難局で舵取りを託された同氏に、今後の抱負と、業界全体の関心事である「新遊技機」についての展望をうかがった。

──はじめに、理事長に就任された率直な心境をお聞かせください。
元々は、筒井公久前理事長が続投する方向で組合人事を含めて調整していましたので、心構えも含めて急遽準備しなければいけない状況でした。また、業界情勢が厳しく、最悪と言っていい中、理事長の大任を仰せつかることになり、戸惑いが無かったかと言われれば嘘になります。

しかし、ある意味時代の流れといいますか、今回の改選で若い執行部・理事が集まりました。私を含めて、現在もリアルで現場に携わられている方が増えましたので、より業界実情や現実に即した形で、様々な機械づくりや改革につなげ、現実を変えていくことができる布陣になったと感じています。

──理事長として、まず何を実現していきたいと考えていますか。
パチンコビジネスの立て直しを最優先に考えていきたいと思います。私自身、筒井前理事長時代から、パチンコにおけるゲーム性の拡大に関して一緒に中心となって動いていました。今後もそれを前面に推し進めて、パチンコビジネスを立て直していくのが、私に課された使命だと解釈しています。

性能向上した新規則機で
旧規則機撤去は順調に推移

──2022年1月には旧規則機の完全撤去を迎えます。パチンコにおける現在の新規則機普及状況と、新規則機の供給状況についての見通しはいかがでしょう。
パチンコにおいては、6月末時点で新規則機設置比率が72%です。新たな設置比率目標値が6月末で70%のため、クリアしている状況です。

パチンコ旧規則機は比較的、再認定された機種が多いため、最後まで使用されるケースは数機種あると思いますが、新規則機においてゲーム性の拡大が進んでおり、ホール様からしても、決まりだからと仕方なく旧規則機を撤去するのではなく、新規則機を導入したほうが集客・利益に繋がる、と前向きな入れ替えをしていただけるのではないかと思います。

今後も、営業に資する新規則機を随時投入していける状況となっていますので、撤去は順調に進んでいくものと考えています。

──旧規則機の撤去を進めると同時に、使用済み遊技機の適正廃棄も進めていかなければなりません。
日工組では2012年から「日工組回収システム」を稼働させています。今回の旧規則機撤去に関して、処理能力等についても処理会社と相談していますし、新たにチラシ等を作成して啓蒙活動に力を入れてきました。

思ったほどの数字には至っていませんが、同システムをホール様にご活用いただければ、かつての野積みや不法投棄といった事象が生じないような体制は既に整えています。不要となった旧規則機は早めに、計画的に、同システムに乗せていただけますよう、お願い致します。

スマートパチンコは
来年4月に向けて整備

──業界全体の関心事である「新遊技機」について、進捗状況と市場投入までのスケジュール感はいかがでしょうか。
まず、名称については「スマートパチンコ」となります。そして、7月2日の組合員会議において、2022年4月に向けて順次整備していくことを決議しました。現在はこの目標に向け、調整している最中です。日電協でも同時期を目安に「スマートパチスロ」の投入に向け取り組まれています。

パチンコに限って言いますと、現状のP機の性能をさらに良くしながら+αという形で、ホール様やメーカーにとってビジネスチャンスが増えるような形でスマートパチンコをリリースできるように計画を進めています。いい形で船出を迎えることができればと考えています。

──「スマートパチンコ」は、現状のP機と比較し、どのようなメリットがあるのでしょうか。
現状のパチンコはゲーム性やスペックが画一化しがちです。まずはP機でゲーム性が拡がることによりスペックが自由に設計できるようにP機を盛り上げていきながら、スマートパチンコでは+αのゲーム性がつくれるようにと考えています。もちろん、現行規則の範囲内でです。

今はこうした中途半端な形でしかお話できませんが、近々にはお話できる部分も増えてきますので、その時に改めてご説明させて頂ければと思います。

──コスト面に関してはどうでしょう。
専用ユニットを始めとしたイニシャルコストは掛かってきますが、2024年には新紙幣に変わります。そのタイミングには新紙幣に対応させるための投資ではなく、スマートパチンコでビジネスチャンスが広がるような状況に持っていけるように、一生懸命知恵を絞っています。

スマートパチンコが広く普及すれば、設備投資が要らなくなり、将来的には機械代を安価にすることにも繋がります。

ただ、「スマートパチンコ」を発表したからといって、パチンコ全てがそれに変わるわけではありません。しばらくは現状のP機と共存していくことになりますので、目に見えたコストダウンがイメージしにくいと思いますが、時間の経過とともにスマートパチンコ専用機が多くリリースされるようになれば、機械代削減も現実味を帯びてくると思います。

──P機の好調さに加え「スマートパチンコ」も控えるなど、多くのホール、ファンはパチンコに期待を寄せていると思います。
現実を変えていくため、そのステージをつくるのが組合活動であり、あとはメーカー間の開発競争です。さらなるゲーム性の拡大を図り、様々な魅力ある遊技機の開発を行っていくためにも、日工組はよりオープンに、そして公平かつスピーディに活動していきます。今後も「こんな機械が出てきたか!」と感じてもらえる機械が登場すると思うので、是非期待していただければと思います。


プロフィール
榎本 善紀(えのもと・よしのり)
日本遊技機工業組合 理事長
1968年9月生まれ。京楽産業.株式会社代表取締役社長。2010年に日工組監事に就任後、理事、副理事長を歴任し、2021年6月に理事長に就任した。

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