【レポート】パチスロ増産機種に見る稼働を誘因する要素

投稿日:

©しげの秀一/講談社・2014新劇場版「頭文字D」製作委員会
©しげの秀一/講談社・2015新劇場版「頭文字D」L2製作委員会
©しげの秀一/講談社・2016新劇場版「頭文字D」L3製作委員会
©Sammy

新規則機の土俵上で、明暗がハッキリと分かれているパチンコとパチスロ。パチンコは新規則機への移行が順調に進み、稼働も健闘している一方、パチスロはその真逆の立ち位置だ。しかし、今年に入り、わずかながらもパチスロに増産の動きが出てきた。

6号機の増産機種の話に入る前に、簡単に5号機の増産機種を振り返ると、『押忍!番長2』『SLOT魔法少女まどか☆マギカ』『パチスロ北斗の拳 転生の章』『SLOTバジリスク~甲賀忍法帖~絆2』『沖ドキ!』『アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.-』など錚々たる機種が並ぶ。また、『パチスロディスクアップ』は、度重なる増産により5号機では初となる5種類のパネルが市場に導入されている。

このように、増産は市場評価の高い機種の証ともいえる。大抵の場合、新パネルで登場するためファンからしても視覚的に分かりやすく、また増台された際には自ずと設定等への期待感は増すものだ。

では6号機に話を戻そう。一昨年の『Re:ゼロから始める異世界生活』や昨年の『SLOTバジリスク~甲賀忍法帖~絆2』の導入以降、なかなかヒット機種に恵まれず、下火状態が続いていたパチスロ市場だが、今年に入り、増産される6号機が増加傾向にある。

『パチスロひぐらしのなく頃に祭2』『パチスロバイオハザード7~レジデントイービル~』『アイムジャグラーEX』『パチスロ絶対衝激Ⅲ』『パチスロ頭文字D』などが挙げられるが、評価されるポイントはどこにあるのだろうか。

ポイント①
有利区間に左右されないゲーム性で安定稼働

6号機を遊技するにあたり、ファンがネックに感じる要素の1つに有利区間がある。6号機、6.1号機では有利区間上限が1,500Gに設定され、獲得枚数上限2,400枚に満たない場合でも1,500G到達で終了してしまうほか、一度有利区間が終了してしまうと遊技継続意欲が薄れてしまいがちといった心理的ネックも同居する。

その点、『アイムジャグラーEX』や『ひぐらしのなく頃に祭2』といったAタイプよりの機種は、有利区間を気にせずに遊技することができるため、安定稼働を見せている。

また、有利区間終了後に、すぐさま初当たりのチャンスが設けられている『絶対衝激Ⅲ』も、ファンに広く受け入れられている。ボーナスの獲得枚数が減り、6号機Aタイプは厳しい印象があるが、やはり遊びやすく、今後も安定稼働を続けていくと思われる。

直近の『新ハナビ』や今後導入される『もっと!クレアの秘宝伝 女神の歌声と太陽の子供達』なども同様に、有利区間に左右されないため、確保しておいていいのではないだろうか。

ポイント②
初当たりと出玉のバランスが取れている

これは昨年の『モンキーターンⅣ』や『バジリスク絆2』の登場で、ファンがより意識するようになった指標だ。『モンキーターン』が登場するまでの6号機は、高純増ATが最大のウリで、ATに突入すれば短時間で多くのメダルを獲得できる仕様がほとんどだった。

しかし、出玉が増えるメインATまでのハードルが高かったり、深い天井ゲーム数まで連れていかれたり、高純増を実現するため通常時に無抽選区間が存在するなど、様々な要因から現在はファンが敬遠し始めているスペックとなってしまっている。

一方、 AT純増枚数が2~3枚前後で、 TYが300~400と出玉性能は抑えめだが、初当たりが比較的軽い『モンキーターン』や『頭文字D』といった機種は支持され始めている。

加えてこれら機種は通常時のレア小役等でCZやATの直撃抽選を行っている点や、初当たりで必ずATに突入する点も奏功している。また、 AT中も消化するだけの作業ではなく、自身の小役の引き等が出玉に直結する叩きどころが搭載されているのも、パチスロらしさを楽しめるものとして、ファンに評価されている部分だと推察できる。

増産機種の導入時は
適正台数と運用を意識

これまで述べた様に、増産機種は評価されている証拠であり、苦戦が続く6号機市場下においては積極的に確保しても良いだろう。実際、ホールにおいては軸となる機種(10台規模で設置)がほとんどなく、バラエティで動く脇役機への期待感が高まっているという。

パチスロホール運営コンサルタントの三木貴鎬氏(㈱エスサポート代表取締役)は、増産機種の導入時のポイントとして次のように述べる。

「今回、増産された機種は中古機相場でも高値で推移している。コスト面を考えても、増産分を新台購入するほうが良い。ただし、あくまで脇役機種のため、自店舗のパチスロ総台数の2%が適正台数といえる。

この台数以上導入してしまうと、いくら市場評価が良いとはいえ失敗する可能性が高い。また、増台することでファンの期待感は必然的に高まる。そうなれば設定の使い方が重要になるのは明白で、薄利で運用することができない場合は、“増台したのに力を入れていない”とファンに思われ、これまた失敗に終わる。買って終わりではいけないということ」。

パチスロ市場は今後、有利区間上限が3,000Gとなる6.2号機が秋口から登場してくることになる。この変化を、パチスロが少しでも浮上するキッカケとしたいところだ。

三木氏は「演出の幅やスペック面で、6.2号機は現状の6号機、6.1号機より多少優位に立つことは間違いないが、有利区間のゲーム数が倍になった分、初当たりが遠くなったり、消化時間やメダル消化スピードが緩やかになると想定され、夜稼働に多少難がありそうだ。そのため、既存の6号機、6.1号機との棲み分けは必要になってくるのではないか」と分析する。

-企画

© 2024 グリーンべると(パチンコ・パチスロ業界メディア) Powered by AFFINGER5