【コラム】遊タイム搭載機の ユーザー動向を検証する

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昨年5月に遊タイム搭載機種が登場し1年が経過しました。今回は、遊タイム導入以前の機種と遊タイム搭載機種の顧客遊技データを比較し、遊タイムに対するユーザー動向を検証し遊タイムの方向性と活用方法を考えたいと思います(文=三輪勝治/エムシック代表取締役)。

顧客遊技データの違い

表は遊タイム導入以前の機種と遊タイム搭載機の比較で、導入3日間でのアウト/1人上位10機種の平均値と、遊タイム搭載機の代表的な機種を表示しています。

ミドルの上位10機種平均の顧客遊技データを比較しますと、投資金額/1人が1,293円増加(+12.3%)、勝率は2.7%アップしていますが、アウト/1人・勝金額平均は減少しており、全体的に変化が小さい事が分かります。

一方、ライトミドルでは、投資金額/1人は+1529円(+19.5%)と大きく増加し、アウト/1人も543玉(+10.2%)増加しています。スタート・ベース・利益率はすべてミドルより辛く運用されているにも関わらず、各データが伸びているのがミドルとの大きな違いです。

また代表例で挙げた2機種の様に、アウト/1人がミドルのAI-CIS育成推奨基準値をも上回る機種もあります。ライトミドルのアウト/1人がミドルの育成推奨基準を超えたのは旧規則機の『AKB48シリーズ』以降無かった事もあり、遊タイム搭載ライトミドルに対するユーザーの粘り具合が窺えます。

また、この粘りの向上(アウト/1人増)は大きな勝金額を狙った結果ではないと考えられます。なぜなら、勝金額平均の伸びは6.0%とさほど大きくなく、『P緋弾のアリア~緋弾覚醒編~』に至ってはライトミドルの育成推奨基準値にも充たない勝金額平均です。従って粘りの要因は勝金額の大きさ以外にあると考えられます。

ここで考えられるのが遊タイム発動回転数の差です。ミドルでの発動回転数は900~950回転が多い事に対し、ライトミドルでは500~599回転が多く、ミドルの約2/3程度です。自然、「あと少し粘ってみよう」とか「今から打てば予算+αで遊タイムに届きそうだな」と感じるユーザーが増え、結果として投資意欲や粘りが上がり、「当たりやすく勝ちやすく」感じていると考えられます。

一方、ミドルはRUSH中のTYを大きくする方向性で作られている機種が多く、スペック的にスタート・ベースが低い傾向があります。多少スペックが辛くても、表の様に継続的に利益率10%程度に抑えられて運用されれば良いのですが、新台期間が過ぎれば、徐々にスタート・ベースが下がり利益率が上がっていきます。

遊タイム搭載機は通常時のスタート・ベースが非搭載機よりも低めになる為、スペックの辛さが更に強く感じられ、遊タイムが逆効果になるのではないでしょうか。

遊技客層の違い

また、遊技客層の違いも一因となります。パチスロ5号機が順次撤去され6号機時代に入り、多くのパチスロユーザーがパチンコに流入しており、特にライトミドルの新台時にはその傾向が顕著です。

パチスロユーザーはパチスロでの天井機能を体験しているユーザーが多く、天井に関する知識・経験はパチンコユーザーより深く、その利用価値も理解しています。結果としてプラスαの投資や粘りをするユーザーが増えることに繋がるのです。

更に、遊タイムの演出やゲーム性は単純に電サポで時短状態にするというモノでなく、1種2種混合、小当たりRUSH、ストック等々多種多様です。複雑なゲーム性を敬遠する傾向があるパチンコユーザーと異なり、パチスロユーザーはゲーム性を重視する人が多く、客層的にもパチスロユーザーの多いライトミドルの方が投資意欲や粘りの向上へと繋がりやすくなります。

投資意欲と粘りを引き出す

以上の様な投資や粘りが発生する事で、初当たり体験数が増え、勝ち体験数も上がります。投資や粘りが減少することなく、勝ち体験数が増える事により高い勝率が維持され、再遊技率が上がるという好循環が生まれるのです。勝率重視派であるパチスロユーザーが多く遊技するライトミドルでは、この好循環が強く働き長期に稼働貢献する機種が生まれているのです。

逆に、投資や粘りが維持されないと勝ち体験数や勝率が落ちるだけでなく勝金額も減少します。『CR真・北斗無双』等の勝金額重視の機種からの回遊が多いミドルでは、勝金額低下は更なる投資や粘りの低下というマイナススパイラルを生むだけでなく、回遊元機種に早期に戻っていくという状況を生み出します。

遊タイム搭載ミドルでの成功機種が少なく、『Pとある魔術の禁書目録』の様に勝金額でなく勝率を重視したスペックの機種に限定されるのはこの様な要因があると想定されます。

まとめ

遊タイムはミドルとライトミドルで異なるユーザー動向を生み出します。

ライトミドル:遊タイムが投資意欲や粘りを引き出し、結果として勝率が上昇し、「当たりやすさと勝ちやすさ」がユーザー支持率へと繋がっていく。パチスロユーザーの回遊性が高い機種ほどその傾向が強まる。

ミドル:特にRUSH中のTYを重視して作られた機種が中心で、ベース・スタートが下がる事で辛くなり、遊タイムのメリットよりも「遊びにくさ」というデメリットを感じるユーザーが多くなり、投資意欲や粘りの向上には繋がり難く、結果として勝金額が上がらない。

今後のミドル、ライトミドルそれぞれの機種選定、機種活用の参考にしていただければと思います。

◆著者プロフィール
三輪 勝治
㈱エムシック代表取締役
1985年立教大学法学部卒業。パチンコ業界大手周辺機器メーカーに勤務。遊技台情報公開システム、情報ネットワークシステムの開発に携わる。退職後、One To One顧客管理システムの開発・販売会社設立に参加。業界初の顧客遊技履歴データネットワークシステムを立ち上げる。システム開発、セミナー講師、等幅広く活動。2016年10 月株式会社エムシック設立。

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