【インタビュー】パチスロの進化を体感して欲しい /カルミナ代表取締役(SLOT DESIGNER) 佐藤圭一氏

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初号機から約1年余、次世代筐体でパチスロ市場に新たな息吹

2019年夏にメーカーとしての「カルミナ」をプレス関係者に初披露し、その年の年末には初号機『怪盗オペラ ミルキィホームズ 1/2の奇跡』を正式にリリース。そこからおよそ1年余り、こだわりぬいた最先端の次世代筐体で、6号機市場の注目メーカーとして関心を集めている。

パチスロの楽しさを
斬新な新筐体で提案

──カルミナとして、初号機から今回リリースされた新機種までに、およそ1年余りの時間が経過しています。
開発自体は、新規則の施行段階から初号機と同時にスタートしていました。当初、5号機と比べ6号機の仕様は大変だという思いはありましたが、諸先輩たちの尽力で(一度の契機での獲得上限)2,400枚基準に加え、指示機能という財産を残してくれました。とくに、これまで曖昧な扱いだった指示機能がきちんと認められということには、嬉しい気持ちがありました。

──今回の新機種は、初号機とかなり印象が異なる斬新な筐体ですね。
主な開発ラインは、非液晶搭載機と従来型の液晶搭載機、そして今回の2面液晶搭載機があります。初号機は、結果的に非液晶搭載機の認可が早く降りましたので、先行してリリースした形です。そして、ネットグループの一員であるカルミナとしての企業戦略は、他メーカーが手がけないことに挑戦していくことにあります。それを具現化した筐体が今回の「ARENA」です。

──今の冷え込んだパチスロ市場を考えると、ここまでの筐体を開発することに躊躇する思いはなかったのですか。
確かに、令和の時代に入り、パチスロを取り巻く状況は厳しい展開が続いています。しかし、「パチスロっていいね」って思って頂くには、どうすればいいかを徹底的に考え抜きました。もともと私が工業デザインを専攻していたこともあり、今回は原点に立ち戻ってゼロからデザインしました。

──2面液晶であることもそうですが、全体のフォルムも特徴的です。
デザインのモチーフとしているのは、アップライト式のスロットマシーンで、ここには、先人に対するリスペクトの思いを込めました。また、キャビネットは、リサイクルを考慮した樹脂製になっています。

──MAXBETボタンが無いことも話題になっています。
実は、MAXBETを押さずに、レバーを2回叩くだけでゲームをスタートさせることができる「トントンレバー」を搭載した機種は、すでに市場投入されているのですが、それらには、MAXBETが搭載されていましたので、ことさらこの機能がフィーチャーされることはありませんでした。今回、MAXBETを取り除いたので、そのことが改めてクローズアップされたのかなと、感じています。ただ、この辺りもプレイヤーにとっての遊びやすさを追求した機能になっています。

──市場に存在する既存の液晶機との違いは何がありますか。
液晶描写は、実際に見てもらうのが一番分かりやすいのですが、今回は、世界で一番視野角が広い液晶ユニットを採用しています。さらに下部液晶をせり出す形状にすることで、より視認性を高めました。それにより、遊技しながら上部と連動した下部液晶の演出を自然に楽しむことができ、遊技説明なども、下部モニターを目一杯用いて表示するようにしています。

そこでは、基本的な遊び方やスペックなどを、かなり細かく記しています。これは、今のパチスロが新規ユーザーにとって、分かりづらいという意見を取り入れ、「プレイヤーがパチスロで遊ばない理由をできるだけ減らす」という開発コンセプトに沿ったものです。そして、それら全てがタッチパネルで操作でき、インターフェイスも直感的に理解できるよう仕上げました。この新筐体で、進化したパチスロを体感して頂ければと思います。

──コンテンツに、「Wake Up, Girls!」を採用した理由はなんですか。

もともと、アニメに内包された東日本大震災からの復興というコンセプトに賛同する思いは以前からありました。その後、落ち着いたタイミングでパチスロ化の話を頂きました。その時は未成年のメンバーが成人するまで待つことにしたのですが、その間に規則が改正され、今度はこちらが待ってもらう側になりました。そしたら今度はグループが解散することになるなど、紆余曲折ありましたが、最終的には、版元の方々と相談し、ファンの受け皿として、パチスロ化しようという形に落ち着きました。今後のメーカー経営という視点で見ても、こういったコンテンツに出資し、パチスロ発でコンテンツを世に拡げていくという戦略を積極的に取り入れていきたいと考えています。

人気アニメシリーズと声優ユニットの活動をパチスロで融合。演出表現の新たな可能性を示したマルチタッチパネル全面LCDの新筐体「ARENA」(アリーナ)が採用されている。納品予定日は5月9日。

──今のパチスロ市場に対しては、どの様な認識を抱いていますか。
店舗からすれば、稼働の不満があると思います。一方、プレイヤーからしたら、面白くない、出ないといった不満があるわけです。特に2,400枚で制限される点の不満をよく耳にします。しかし、2,400枚のリミットがあるからこそ作れるゲーム性もあります。もちろん、許されている範囲内での射幸性は求めていきますが、これからはパチスロでしか味わえないゲーム性で新規のファンを増やす取り組みに力を注いでいくしかないと思います。

──具体的には。
例えば、今回のコンテンツはすでに多くのファンを抱えています。年々遊技人口が減るなか、これにより少しでも新規ファンを獲得できれば、と思います。見方を変えれば、2400枚にあまりこだわらないことも大切です。パチンコと射幸性で競争するのではなく、ゲーム性の拡がりを追求する方が、パチンコとの差別化が図れ、いい結果に繋がるのではないでしょうか。

【プロフィール】
さとう・けいいち
1970年生まれ。工業意匠を学び、1994年遊技機メーカー入社。その後開発会社などを経て、2016年9月カルミナ株式会社代表取締役社長に就任。

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