新型コロナ感染拡大に伴い、平時とは異なる状況に晒され、異例の出来事が頻発した2020年。この1年間の主なパチンコ業界ニュースの中から、編集部が独自にランキングした。
目次
第10位 同友会とPCSAが合併、MIRAIへ
ホール団体の日本遊技産業経営者同友会とパチンコ・チェーンストア協会が合併し、10月19日に新団体『MIRAIぱちんこ産業連盟』として始動した。ホール企業が正会員となり、発足時点の正会員は68社(計1067店舗)。今後の活動は主に政策提言などを行っていく方針。
これで、ホール関連団体は全日遊連、日遊協、MIRAI、余暇進の4団体となった。
第9位 新たな型式試験機関GLIJapan始動
2018年8月に、国家公安員会から遊技機試験及び型式試験の指定試験機関として指定を受けていた、一般社団法人GLI Japan(イアン・ヒューズ代表理事)が、試験申請予約ならび型式試験を開始した。
12月1日までのパチンコの受理件数は11件、結果書交付6機種、適合5機種、不適合1機種、みなし不適合0機種となっている。また、試験中の機種は5機種となっている。
遊技機の型式試験を巡っては、その適合率の低迷や、型式試験申請枠数の不足などが指摘されてきた。当面の間はパチンコのみの試験実施となっているが、ゆくゆくはパチスロの試験も解禁されるはずだ。試験機関が1つ増えることで1機種でも多くの新規則機が適合することに期待したい。
第8位 Aタイプの命運握るジャグラーが登場!
年明け早々の1月7日、北電子が都内ホテルでジャグラーシリーズ初の6号機『アイムジャグラーEX』のプレス発表会を開催。大きな話題を呼んだ。
肝心のスペック面は、5号機の『アイムジャグラーEX』と比べ、ボーナス合成確率1/168.5~1/127.5、出玉率97.0%~105.5%と全ての設定で遊びやすくなっている点が特長。獲得枚数も平均252枚(BB)、約96枚(RB)と、6号機の枠組みの中ではギリギリを攻めた。
演出面では新筐体を採用。「GOGO!ランプ」の発光パターンが増えたほか、リール上部にはJUGGLERのロゴランプを搭載するなど、スペックの要素も進化を遂げ、6号機第1弾を切るにふさわしい『ジャグラー』に仕上がっている。
当初は春先に導入予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大等の影響で導入を延期。その後、12月14日に決定し、現在ホールで稼働中だ。
第7位 源さんの人気爆発!代表するヒット機に
今年1年の遊技機市場を語るうえでハズせないのが、『P大工の源さん 超韋駄天』の大ヒットだろう。
同機は新型コロナウイルスの感染拡大が広まった4月に導入された。当時は広告宣伝の自粛や、営業自粛期間の影響もあり、さほど話題にあがる機種ではなかった。しかし、営業再開後、同機を遊技したユーザーが、ゲーム性や出玉性能などを写真を交えてSNS等で投稿すると、ユーザー間で人気に火が付いた。連日の高稼働に加え、夜9時以降でも一勝負できるとあり、夜の稼働の底上げにも貢献。一躍ヒット機種におどり出た。
同機は数度の増産を経て市場導入台数が6万台弱にまで伸びている。
第6位 店舗数が38年ぶりに1万店を下回る
警察庁保安課がまとめた「令和元年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等」によると、令和元年(2019年)末のパチンコ営業所数(許可数)は9,639店となり、昭和56年(1981年)の9,807店以来、38年ぶりに1万店を割り込んだ。ピークといわれた平成7年の18,244店と比べると、その数は約半分まで減少している。
店舗の規模別の推移をみると、101~300台規模の減少幅が大きく、前年比で237店(7.2%)減少、301~500台規模の店舗も前年比194店(5.3%)減となり、中小規模店舗の減少が目立った。1店舗あたりの遊技台数は増えており、中小規模店の厳しさは続きそうだ。
一方、遊技人口も減少傾向が続いている。レジャー白書によると、2019年中のパチンコ・パチスロの参加人口は890万人と推計された。前年比で60万人の減少となり、過去最低を更新している。遊技人口が減り、それに伴い、店舗数も減るという負のスパイラルが続く。
今回の白書では年間平均活動回数や年間平均費用が前年よりも増えているが、これらは規則改正による旧規則機の撤去が進む中、打ち納め的に遊技する人が増えたことなどが推察される。
ともあれ、ファンの拡大なくして店舗数や市場規模の回復はない。
第5位 パチスロ6.1号機で低ベース化実現へ
日電協は1月27日、業界誌記者向けに「パチスロ6.1号機基準」の概要を説明した。
自主規制の見直しを行ったのは「ペナルティ規制の緩和」「スタートレバー、ボタン等を使用した演出の緩和」「ビデオリール演出の緩和」の3項目。この中でも特に業界関係者の関心が高いのが「ペナルティ規制の緩和」だ。ATタイプのベースを抑えることが主目的で、現状の6号機と比較して約5~10G程度ベースを下げることが可能となった。その他2つの緩和は主に演出の幅を広げるのが主目的となっている。
6号機は高純増、高ベースの機種が多く、ホールの売上・粗利・稼働が見込めない状況が継続しており、6.1号機にはこうした状況打破に期待が掛かっている。しかし、保通協の型式試験の適合率は依然として低水準で推移しており、低ベースを実現した6.1号機はほとんど出ていない。それでも、保通協の試験方法が変更になったことで、6.1号機の適合率改善に一筋の光が射した。2021年2月以降は、低ベースの6.1号機が徐々に登場してくるというのが、大方の業界筋の意見だ。
高射幸性パチスロ機をはじめとするホールの売上・粗利・稼働の中心だったパチスロが1月には数多く撤去される。いち早い低ベースの6.1号機の登場が待たれる。
第4位 パチンコに時短革命 遊タイムに熱視線
パチンコにおける「技術上の規格解釈基準」および「日工組内規」の改正によって、時短回数上限の撤廃や作動契機の増加、リミッター上限値2個など、パチンコのゲーム性の幅が大きく広がった2020年。その中でも特に大きな脚光を浴びたのが「遊タイム(b時短)」だった。
「遊タイム」は低確率で規定回転数消化後に作動する時短の名称。発動すれば実質大当たり濃厚となる機種も多く登場し、ユーザーの新たな遊技選択肢として認知・定着しつつある。
今年登場した主な遊タイム機は『仮面ライダー轟音』『真・牙狼』『とある魔術の禁書目録』『大海物語4スペシャル』『真・北斗無双3』『冬のソナタFOREVER』など。2021年も遊タイム機がパチンコ市場の中心となりそうな気配だ。
第3位 4月から屋内禁煙に加熱式フロアも急増
受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が4月1日から全面施行され、パチンコホールも原則、屋内禁煙となった。遊技客の喫煙率が高いホールでは、施行にあわせて店内に喫煙室を設置したり、張り紙で店内禁煙を告知したりするなど対応をおこなった。
都内のホール関係者は、「最初のうちは客離れや稼働に影響がでると思うが、これも時代の流れ。前向きに営業したい」と受け止めていた。
店内に設置された喫煙室のタイプは1人用から、10数人が同時に利用できる多人数用のものまで様々。店舗の規模やスペースに応じて使い分けられている状況だ。
一方で改正法では、経過措置として、加熱式タバコに限り、一定の分煙基準を満たしているフロア(エリア)であれば、飲食や遊技が行えることになっており、店内の一部を加熱式タバコ専用フロアに改装する動きも急増した。
タバコを吸えるパチンコ店検索サイト「パチモク」によると、4月末から7月末にかけて加熱式タバコ専用フロアを設けた店舗は3倍以上に増えた。特に加熱式タバコの普及率が高いとされる東京都を中心に、関東地方のホールでの設置が目立っている。都心部には多層階型のホールが多く、加熱式タバコ専用フロアに切り替えやすいことも背景にあるようだ。
今後は喫煙ユーザーの離反を防ぎつつ、タバコを吸わない非喫煙ユーザーをどこまで増やしていけるかが、ホールの課題となる。
第2位 旧規則機の設置期限が延長
セーフティネット対象業種への指定とともに、コロナ禍で苦しむホール企業に対する救済策となったのが、旧規則機の設置期限延長だ。
警察庁は5月14日、国家公安委員会規則の一部を改正し、原則的に最大2021年1月末までとしていたパチンコ、パチスロ旧規則機における認定、検定の有効期限について1年間の延長を認めた。
これを受け、パチンコ・パチスロ産業21世紀会は5月20日、対象となる遊技機の細かな設置期限等について決議。21世紀会決議として、全国のホールにその遵守の徹底を求めた。
延長の対象となった旧規則機の設置期限は、高射幸性パチスロ機は当初の期限通り、パチンコの遊パチ(甘デジ、ちょいパチ、羽根モノなど)、パチスロのノーマルタイプは当初の認定および検定切れ日より210日後とした上で、それ以外の旧規則機については、当初2020年中に認定および検定が切れる予定の遊技機は2020年12月末(後に2021年1月11日に修正)、2021年中に認定及び検定が切れる遊技機は2021年11月末とした。
コロナ禍に伴う休業などにより機械代の捻出も苦しい多くのホールにとって、旧規則機の設置期限延長は、まさに渡りに船となったわけだが、その後、大きな問題が浮上する。21世紀会決議で定めた設置期限を守らず、特に集客力の高い一部の高射幸性パチスロ機の営業を続けるホールが現れた。
当然、ホール組合を筆頭に、当該ホールに対し、是正を求めたが、当該ホール側は「法律的には問題ない」との主張で拒否。その後、業界団体は、組合員の加盟資格の停止、中古機証紙の発給停止、違反ホールの通報システムといった策を講じ、ホール間での足並みを揃えることに努力。実際、東京都遊協では、11月の理事会で、高射幸性パチスロ機の設置を続ける組合員ホール(パールショップともえ町田609)に対し、60日間の組合員資格の停止を決定した。
年明けには、当初2020年中に認定及び検定切れを迎える予定だった旧規則機の設置期限を迎える。その中には『沖ドキ!』といったホール営業への貢献の高い旧規則機も含まれている。予断は許されない。
第1位 新型コロナ対応で95%超のホールが休業
今年のパチンコ業界は、新型コロナ抜きには語れない1年となった。政府は4月7日、東京都など7都府県を対象に「緊急事態宣言」を発出。その後、対象は全国に拡大し、各自治体ではホールに休業要請する事態に発展した。
休業要請は最終的にほとんどの地域に及び、全国95%を超えるホールが休業要請に協力。各ホールの業績は大幅に落ち込み、ホールによっては月の粗利益が8割減、9割減といった声も聞かれた。
政府の各種支援策の中でも業界で大きく歓迎されたのが、セーフティネット5号保証の対象業種に含まれたことだ。ホール企業は通常の一般保証とは別枠で最大2億8,000万円の80%保証が受けられることとなった。
5月~6月にかけて、業界内外で大きな話題となったのが、休業要請に応じないホールの動向である。一部の自治体では、インフルエンザ等対策特措法の第45条第2項に基づく休業を要請し、対象となるホールの公表に踏み切った(本誌調べで対象は20都道府県382店舗)。それでも営業を継続するホールに対して兵庫県などは「休業指示」に発展。その数は、本誌調べで5県14店舗に及ぶ。
主にこの間、業界を襲ったのが世間からのバッシングだ。休業要請に従わず、多くの人で賑わうホールの模様がワイドショーやネットニュースで連日取り上げられ、批判がエスカレートした。
営業的な苦しさもあり、多くのホール関係者は、特措法に基づく休業要請および指示に従わなかったホールに対する不満がくすぶり続けた。兵庫県遊協では、休業指示に従わなかった3店舗の組合員の除名処分を決定。埼玉県遊協では、休業要請期間中に営業を再開した副理事長が辞任する事態となっている。
業界では、世間からのバッシングなどの苦い出来事を教訓に、業界の正しい実情を伝えるための施策を講じた。ホールの優れた換気能力を伝える実証実験映像を全国青年部会が作成。記者会見の開催などを通じて、世間に大きくアピールした。