酷暑が続いた8月──。そんななかでも新型コロナウイルス感染拡大防止のために出入口を開放し換気している商業施設は少なくなかった。酷暑とウイルス対策のダブルパンチが、例年以上に施設内環境の快適化を至難の業にしていた。
その解決策のひとつとして、空調管理にエネルギーマネジメントシステムを導入。(空調の)電力や室温・湿度・CO2濃度などを「見える化」「自動制御」することで、施設内の快適性・安全性の課題をクリアにしつつ、省エネ効果も高めている事例も多いという。
その現状について、エネルギーマネジメントシステム『PN-XERO』シリーズを開発・製造し、全国パチンコホールにも106店舗(9月1日現在)の導入実績を持つパルコスモ株式会社に聞いた。
導入1年目から省エネ達成率170%、次年度は更なる削減も
では、まずは省エネ効果について、石川県野々市市のパチンコホール《ホームランGOGO野々市店》を例に挙げよう。同店では昨年2019年6月からエネルギーマネジメントシステム『PN-XERO』を導入。2020年5月までの電力料金は、年間約150万円もの削減に成功している。
同店の例について、『PN-XERO』の開発・製造元であるパルコスモ社の小井土マネージャーによると、「野々市店様では自動制御化により、契約電力が650kWから628kWへ減少しました。それに伴い年間約35万円の削減となり、電力量削減効果(年間約115万円)とあわせて約150万円の削減をしました。当初は約88万円の試算でしたが、自動制御が想定以上に功を奏して約170%の達成率となりました」と話す。また直近1年間の最大消費電力が「契約電力」として設定されるが、同店では565kWと大幅に削減できており、翌年以降もさらなる電気料金の削減が期待できるという。
一方で、運用する現場サイドでも導入効果に高評価だという。店舗関係者のコメントによると、「手動で設定温度を変えていた時は非常に手間だった。自動制御になってほぼ手間いらずで快適が保て、(コロナ禍による)人手不足の状況下でも助かっている」と、省エネ以上に省力化に対する点も好印象とのことだ。
また、総台数450台規模のホール事例では2012年からシステムを導入。この事例の場合でも毎年、年間約120万円の削減に成功しているという。‥等々、同社によれば、これまで同社システムを導入したパチンコホール全体では年間換算1億円以上の経費削減を実現しているという。さらに、導入したほぼすべての企業が、複数の系列店舗にリピート導入しているほど好評を得ているという。
これからの感染対策に注意、乾燥させすぎでウイルス拡散にも…
省エネ効果に劣らず、注目したいのは『PN-XERO』による“快適性・安全性”についてだ。
同システムの仕組みは下図の通り。この図にある「温度センサー」には「湿度センサー」「CO2(二酸化炭素)センサー」が連携されており、全ての状況を24時間モニタリングしている。各センサーで計測された数値をベースに、CO2濃度から最適な換気量に、温度・湿度から“体感温度”での最適な室温に、自動制御で管理・維持してくれる。同システムでの環境管理により、先に挙げた省エネ化・省力化はもちろん、施設内を冷やし過ぎたり、暖房し過ぎるといったクレームを未然に防いでくれるのも大きいメリットだ。
■『PN-XERO』システム構成
これからの秋から冬にかけて、換気に関して小井土マネージャーは次のように警鐘を鳴らす。
「出入口の開放による換気も有効ですが、これから秋、冬にかけての乾燥シーズンを迎えれば、今度は過剰な暖房で屋内を乾燥させてしまい、新型コロナだけでなく、インフルエンザなどのウイルスも拡散させてしまう可能性が高くなります。夏場は空調効率の低下で消費電力を上げる要因のみでしたが、ウイルス対策の事も考えると空調換気に頼る方が安全といえるでしょう」。
現在、パルコスモでは無料診断を実施中だ。
小井土氏も「新型コロナもピークアウトしたと気が緩みがちな時期です。この無料診断の機会を通して、より安全で効率の良い(店内の)環境作りを再検討してみていただきたい」と提案する。
(※この記事は9月1日までに取材・作成したものです)
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パルコスモ㈱
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