パチンコホール企業の倒産が前年比2倍と急増、新型コロナ関連は3件に

投稿日:2020年6月6日 更新日:

今年5月におけるパチンコホール企業の倒産は2件だったと東京商工リサーチが6月5日に公開したレポートの中で明らかにした。また今年1月~5月の累計倒産件数は12件で前年同期の2倍に急増している。

新型コロナウイルス関連での倒産は、今年5月までで3件となり、レポートの中で同社は「2020年は2014年以来、6年ぶりに年間30件を突破する可能性も出てきた」と指摘する。

元々、ホール企業は、出玉規制や受動喫煙の防止などで経営環境が厳しさを増していた。そのようななか、政府の緊急事態宣言の発令に伴う各自治体の休業要請がホール企業の体力を奪い、また、休業要請に応じず営業を強行した行為に対して社会的な関心を集めた。

4月下旬、休業要請に応じなかったホールに対し、一部の自治体が新型インフルエンザ等特措法第45条に基づく施設の使用停止(休業)を要請し、対象となるホールを公表。業界内でも大きな混乱が生じた。

5月25日、政府は全ての都道府県で緊急事態宣言を解除した。ゴールデンウィーク明け以降、各地域の状況に応じ、随時、ホールに対する各自治体からの休業要請は解除されたが、東京都のみ現在も休業要請(※東京都は、ホールをステップ3に区分けし現状、ステップ2まで解除)が続いている。

ただし東京都遊協は、休業の長期化で各ホールの経営が危機的な状況に陥っていることから、東京都の休業要請に対する判断を各経営者に委ねる方針に転換。そのため現在では、都内においても多くのホールが営業を再開している。

政府は、5月から政府系金融機関や信用保証協会の融資や保証の対象を、パチンコホールにも広げた。また警察庁は5月14日、最大2021年1月末まで有効だった旧規則機における検定および認定の有効期限を1年延長した。

本来、ホールは原則2021年1月末までに改正規則に対応した新規則機に全て入れ替える必要があった。旧規則機の設置期限延長により、今年の機械代が抑えられることとなり、ホールの廃業や倒産を、一時的には抑制する効果が期待される。

同社はレポートの中で「2カ月に及ぶ休業や、感染予防対策での稼働率低下など、経営環境は依然として厳しい。資金力の乏しい中小・零細のパチンコホールの淘汰は、これから本番を迎えそうだ」と見通した。

【主な倒産事例】※レポートより引用
4月15日に破産申請の㈱赤玉(愛知県)は、事業承継の可能性を評価し、管財人が民事再生法の適用を申請した。休業要請で先が見えなかったが、営業再開の店舗も増え、大手は事業譲受を検討しているようだ。

㈲有楽商事(群馬県)は、休業中に営業再開の見込みが立たず4月30日、破産を申請した。昨年からスポンサー交渉を進めていたが、新型コロナの影響で交渉が破断、事業継続が困難となった。

㈱愛染観光(徳島県)は、店舗改修などの投資負担が重く、金融機関に返済リスケで資金繰りを維持していた。しかし、新型コロナ感染拡大で客数が減少。5月20日、破産開始決定を受けた。

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