【コラム】パチンコ店の売り場にソーシャルディスタンスな情報発信を組み込む!?

投稿日:

・失敗しない売り場プロモーション
新型コロナウイルスの感染拡大により、パチンコ店も臨時休業や時短営業など、深刻な影響を受けています。一刻も早い収束を願うばかりですが、収束した後はすぐに従来通りの営業にもどるのでしょうか。収束後の売り場づくりで大切なことを解説します。

人生観が変わるような衝撃的な出来事が起こると、人の思考および行動は変化すると言われています。例えば、2011年3月11日に起きた東日本大震災以降、人々の思想は大きく変化しました。では、今回の新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に蔓延して、生命的にも経済的にも危機をもたらしたことで、お客様の価値観はどのように変わり、我々は今後どのような売り場づくりを行うことが重要なのでしょうか?ほんの少し先の未来を考えてみましょう。

収束しても安全性を求める

私の重要な仕事は、現状の問題解決だけではなく、少し先の未来を示すことです。当然、現時点ではホール運営を行っている企業が、売り場づくりを考える余裕はないです。まずは、キャッシュアウトしないよう!最悪の事態に陥らないよう!に経営判断することが最優先事項です。

「新型コロナウイルス感染症に係る中小企業者対策」に関するセーフティネット保証制度(4号・5号)の対象外(※4月現在)であるパチンコ業は、他の業種業態以上に、なりふり構わず死力を尽くし、会社存続のために迅速に決断して、行動していくことが必要不可欠です。

では、新型コロナウイルスが収束して無事に生き残れた時、どのように集客回復を狙えば良いのでしょうか?少し先の未来を捉えておくことで、事前準備ができます。願わくば従来と同じ営業を行うだけで、集客が元通りに回復することを望みますが、それは想定しづらいです。

その理由は、前月号で解説したマズローの欲求5段階説からみて、直ぐに上位の欲求に戻ることはないからです。収束しても、お客様は売り場に安全性を強く求めます。そのため、前月号の私のコラムのような取り組みを売り場プロモーションで打ち出すことがポイントのひとつです。ただし、それだけでは、ダメです。お客様の価値観が変わったのだから、その思考に売り場を適合させることがもうひとつのポイントです。欲求が満たされないところに、ひとは集まりません。

では、まずここで視点を変えて、世の中に激震が走れば、どのように「お客様の価値観が変わる」のかということを、東日本大震災後に内閣府経済社会研究所が43頁にまとめて発表した「東日本大震災直後の若年層の生活行動及び幸福度に対する影響」の報告書およびデータを見ながら考察しましょう。

変化する欲求や行動

若者の欲求は、金銭的また物理的欲求より、つながりを求めて「共生」や「他者のために」という利他的な欲求に移行していると言われて久しいです。弊社でも、自社の新卒採用を10年以上続けていますが、大学生の方々をこれまで面接してきて、私が大学生だった時と比較すると、価値観の違いを痛感します。報告書の一部を抜粋すると、「家族などとの結びつきを重視する…自らを省みたり、社会を一緒によくしていかなければという意識を強めた」と記述されています。

さらに、アンケート結果(1万6,000サンプル)のデータを見ると、人生観・価値観の変化の第一は「日々の当たり前の暮らしがとても重要で幸福だと感じるようになった」、第二は、「家族や友人とのつながりをもっと大切にしたいと思うようになった」という項目が挙がりました。まさに、利己的な欲求から利他的な欲求に移行したと言えるのではないでしょうか。もちろん統計データであるため、全ての人々がそのようになったという話ではなく、利他的な欲求で物事を判断する割合が増えたという話しです。

では、ここで皆様に質問です。一例として考えてください。

《問題》 朝並びの告知は従来通りの告知内容で良いのか?

人間は価値観や欲求が変われば、行動変容します。例えば、健康寿命を伸ばして長生きしたい!と強く思うようになれば、食習慣を変えたり、ジムに通いだしたり、ジョギングをしたり、大きく行動が変わります。

では、今回の新型コロナウイルスはどのような価値観を変えたのかというと、やはり、東日本大震災と同じように利他的な価値観が芽生えたのではないでしょうか。当たり前の日常が素晴らしく、外出自粛に伴い家族や友人の存在を改めて大切であると認識した方が多いはずです。当然、新型コロナウイルス収束後に、統計データに基づきながら最終的な判断をすべきですが、容易に利他的思考で物事を捉える人々が増えると仮説が立てられます。

【正解】従来通りでは問題で、ソーシャルディスタンスの視点を取り入れた朝並びの告知を行う

ソーシャルディスタンスとは、公衆衛生戦略を表す用語で、疾病の感染拡大を防ぐため、意図的に人と人との物理的距離を保つこと。具体的には、例えば、列をなす場合は2メートル程度の間隔を空けた方が良いと言われています。

SNSで話題になったのは、マクドナルドやコカ・コーラ、フォルクスワーゲンなどの大手企業がこのソーシャルディスタンスの習慣を広めようと広告キャンペーンを行い、各社のなじみのロゴを改変することで、ソーシャルディスタンスの概念や意義を視覚的に理解してもらおうという試みを実施しました。

つまり、様々なマスメディアを通して、自分の身だけを守るのではなく、大切なひとを守るために、距離を取ることの重要性が叫ばれたのです。その流れをくみ取り、利他的な思考に変化したお客様は、営業自粛明けに、距離を取らずに並ぶことに対して嫌悪感を抱くひとが一定数いらっしゃるはずです。

本当に失礼な話だと思いますが、「パチンコ店にご来店なさるお客様はそんなことは考えない」とおっしゃる方に出会います。本当にそうでしょうか? パチンコ店にご来店なさるお客様も、世間一般の方々と同様に十分に気になさっています。

そのような中、自粛営業が終わったから、何も考えず従来のように営業するのか、お客様の価値観は変化しているのだから、その価値観に合わせた営業するのか、明確な違いが生れます。同じ営業をしている場合、あなたならどちらのお店に行きますか?

◆著者プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。

-コラム
-,

Copyright© グリーンべると , 2020 All Rights Reserved.