
Q1:そもそも「眠気」って何ですか?
眠気は、主に2つの仕組みで生まれます。1つ目は「起きている時間の長さ」。起きている時間が長くなるほど、脳に“眠りたい圧力”がたまっていきます。
2つ目は「時間帯」。多くの人は、深夜2〜4時ごろや昼食後の14〜16時ごろに眠気を感じやすくなります。本来休息しているべき深夜や早朝に活動すると、体内時計が乱れ、眠気やだるさ、集中力の低下などの症状が現れます。
つまり、「自分が弱いから眠い」わけではありません。夜勤や深夜帯に眠気を感じるのは、人間の体として当たり前の反応。まずはそこを知ることが、正しく眠気と向き合うの第一歩となります。

Q2:眠気を飛ばすために、よくやりがちなこと。これってアリ?
〇コーヒー・お茶(タイミング次第)
カフェインは30分前後で効き始めます。仮眠前に飲んで、起きたころに効いてくる「コーヒーナップ」も有効です。ただし、研究では、寝る9時間前のコーヒーが原因で、睡眠時間が短くなるという報告もあります。すぐ寝たいとき(夜勤明けなど)は、仕事中から控えめにするのが無難です。
〇立ち歩き・ストレッチ(短時間のリセットに)
体を動かすと血流が上がり、一時的に頭がスッキリします。5分でもOK。「2階分階段で往復する」など、身近な運動でも効果的です。カフェインなどの薬物に頼らない方法ですので、最もおすすめです。
△エナジードリンク(一時的+反動が大きい)
エナジードリンクはカフェイン量にばらつきがあります。糖分を必要以上に摂取してしまいやすい点にも注意。人によっては、血糖の急上昇→急降下で、かえってだるさが増すことも。甘くて美味しい製品が多いのでついつい飲んでしまいがちですが、カフェインの摂りすぎは睡眠の質を下げると報告されています。「ここぞ」の1本に留めるのが無難です。
×タバコで気分転換(短時間の効果はあるが、おすすめできない)
ニコチンには一時的な覚醒効果がありますが、数分で切れてしまいます。頻繁に吸っても眠気対策としての効果はほぼ期待できず、持続的な対策としてはおすすめできません。
Q3:どんな「眠気」が危険信号?
以下のサインが出ていたら、要注意です。
・同じ文章を何度も読み返している
・一瞬“意識が飛んだ”感覚がある
・運転中、直前の道の記憶があいまい
交替制勤務者の5人に1人は、過度の眠気と不眠を特徴とする「交替制勤務障害」を発症し、パフォーマンスの低下、事故や業務ミスの増加を招きます。こうしたサインは、「もう限界が近い」という体からの警告です。「あとは気合いで乗り切る」のではなく、短い休憩や仮眠を「選択肢のひとつ」として、戦略的に活用するのもよいでしょう。
Q4:眠気をため込みすぎないために、今日からできる工夫は?
【自分でできること】
夜勤前日は「無理な予定を入れないデー」に。完全な寝だめはできませんが、睡眠負債を減らすことはできます。
【職場にあると嬉しいこと】
夜勤中に短時間の仮眠を取れる環境や制度があると、ありがたいです。
「危ないサインが出たら、短い休憩を“堂々と選ぶ”こと」。これだけでも、“ミス”や“事故”を確実に減らす力があります。ご安全に!
◆プロフィール
亀山 嘉志人(Yoshito Kameyama)
株式会社torchi 代表取締役社長
医師・産業医・労働衛生コンサルタント。「スタッフの突然の休職」「採用してもすぐ辞めてしまう」といった業界特有の「人の問題」を、産業医の視点から解決する専門家。経営者の悩みに寄り添い、従業員の健康管理を通じて「人が辞めない、強い組織」作りをサポートする。企業研修や顧問契約に関するご相談は下記まで。
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