
2026年は、AIが単なる「導入」から「運用」へシフトする真の元年となります。なぜ多くの現場でAIが定着しないのか?その鍵となる業務の「ルーチン化」や、成果を出すために不可欠な「仕組み化」について解説します。
年末が近づくにつれ、私の元へ寄せられるAIに関する相談が急増しています。 ある県の組合からは講演依頼があり、変わり種では、たい焼き店の経営者から「ホールのAI活用事例を教えてほしい」というものまで届きました。
世の中が本格的に「AI活用」へと舵を切り始め、この流れを見るに、私は「2026年こそが、本当の意味でのAI元年になる」と確信しています。
最近の報道で、ソニーグループが全社員へ生成AI活用を推進し、わずか2年で5・7万人が日常業務でAIを使う体制を構築したと話題になりました。
この数字のインパクト以上に重要なのは、「AIは『導入』ではなく『運用』にこそ価値がある」という本質です。AIは「導入すれば自動で勝手にやってくれる魔法の箱」ではありません。正しく管理し、人間が使いこなす仕組みを作って初めて、強力な力を発揮する「ツール」にすぎないのです。
成果を出す絶対条件
「業務のルーチン化」
では、ホール運営でAIをどう成果に繋げるか。答えは「業務のルーチン化」にあります。例えば、貴店では次のようなサイクルを回せているでしょうか?
【月曜日】 先週の営業数値を、AIが自動でレポート化
【火曜日】 そのレポートを元に、スタッフ全員が「仮説(推論)」を3つずつ提出
【水曜日】 集まった仮説を絞り込み、3つの具体的な「行動施策」へ落とし込む
【週末】 実行した施策の結果を再度AIで検証し、翌週の改善へ繋げる
このように、AIを軸にした一連のプロセスを社内に定着させることが重要です。結局のところ、AI活用の成否を分けるのは「人間力」です。AIはあくまで補助であり、仕組みを作り、運用し、改善する力は人間にしかありません。
AIツールの導入はスタート地点(ステップ1)に立ったにすぎません。自社の現状を、以下の4点でチェックしてみてください。
Q1.あなたの会社が使っている「AI」は何ですか?
Q2 AIを活用した“業務の仕組み(フロー)”を構築されていますか?
Q3.AIを使って追うべき具体的な「KPI・ 数値」は何ですか?
Q4.社内でAI活用を主導する「スペシャリスト」や横断的なチームはありますか?
この1〜4が揃って初めて、AI活用が利益や稼働アップという成果に繋がります。来年以降、パチンコ業界内でのAI活用に関する格差はさらに広がるでしょう。今のうちに「仕組みづくり」に着手できた店舗だけが、間違いなく次の市場で勝ち残るはずです。
◆プロフィール
髙橋和輝
株式会社ピーメディアジャパン代表取締役。大前研一ビジネススクール出身。18歳から現場一筋で、ホール企業勤務を経て、コンサルタントとして独立。業界初のホール企業向けサブスクサービスを12年運営。現在はパチンコ特化型BtoBプラットフォームを展開(2024年取引額約6.5億円)し、ホール営業×AIを開発中。



