【コラム】パチスロ増台の潮流における「バラエティコーナー」の未来展望

投稿日:

ここ2年ほどの間に、パチスロの設置台数を増やすホールが急増したことは周知の事実です。では、それに伴い、「バラエティコーナー」の設置台数も増えていくのでしょうか。考察していきたいと思います。

私なりの結論を申し上げますと、今後バラエティコーナーの設置比率は“減少”していくことが想定されます。正確に言えば、20円パチスロ総台数を増やしても、バラエティコーナーの総台数は増やせる余地はなく、設置比率が下がっていくという見立てです。決してバラエティコーナーに否定的なわけではなく、現状のパチスロ動向を考えたうえでの結論となります。

メーカーとの付き合いの中で購入した遊技機を少台数で設置することで、利益も取りやすく、顧客動線上の死島を有効活用するために非常に重宝するため、バラエティコーナーは機種構成には必須のコーナーであり、これまでは20円パチスロ全体の10%前後の設置比率を推奨してきました。

しかし稼働する機種数から考えると台数的には20~30台が限界であり、適宜新台を導入してもコーナー自体の稼働増の見込みは低いです。逆に、コーナーを維持しようと稼働しない機種を設置し続ければ、機械の墓場のようなイメージを抱かれ、店舗のイメージにも悪影響を与えかねません。

現状のバラエティ推奨機種をまとめてみました。3台ずつ挙げたBT機はバラエティではないでしょうし、脇役機としても十分に機能する機種もあり、実質1~2台設置が基本のバラエティ機は20機種ほどしかないのがお分かりいただけるでしょうか。

スマスロ登場から3年が過ぎ、6号機AT機もスペック、ゲーム性ともに成熟期に突入しています。『スマスロ北斗の拳』の勢いが凄まじい時代は、北斗以外は全て脇役機やバラエティという状況でしたが、現状はメイン機、準メイン機、脇役機とバリエーションに富み、そこそこ稼働する機種が多数あることで、機種構成を埋めることができています。

こうした背景から、バラエティで1~2台欲しいと思わせる機種の存在感は薄れつつあります。また、昨今の設定運用もバラエティコーナー縮小の要因となっています。以前はバラエティコーナーにも積極的に高設定を投入していましたが、メイン機から脇役機まで使える機種数が増えた今では、高設定を投入すべき機種が多く、バラエティコーナーはどうしても後回しとなります。それは全体粗利を考えると致し方ないことです。

合わせて、来店取材も盛んに行われるようになり、全台系の高設定配分が多用されるようになった影響も大きいです。全台高設定機種を探す際には、バラエティコーナーは対象にならず、ユーザーの機種選定の優先順位から外れてしまい稼働も上がりにくくなります。

それを払しょくするために、イベント時にバラエティコーナーにも積極的に高設定を投入すべきですが、そこまでの余裕はないと思います。これらのことから、バラエティコーナーはホール規模の大小問わず、設置比率で考えるよりも20台程度を目安に運用することが望ましいと考えます。

◆プロフィール
三木 貴史
㈱エスサポート代表取締役
1972年生まれ。97年中央大学商学部卒業後、パチスロ専門店(神奈川県42台)にて勤務。01年〜06年グループ4店舗を統括部長として指揮、在職中より他店舗のコンサルティングにも携わる。この期間、全ての店舗で稼働平均15,000枚を継続。07年に独立し、パチンコ・パチスロホール運営コンサルタントとしてエスサポートを設立。“ホールの知恵袋”として全国どこにでも出張中。社内外を問わず行うセミナーも好評。

関連記事

-コラム
-