
パチンコビレッジは12月17日、オンラインで「パチンコ・パチスロ販売実績2025」のプレス発表会を開催した。同社は2025年の販売実績総括に加え、機種別・メーカーグループ別の販売台数ランキング、さらに2026年の市場予測などを明らかにした。
2025年のパチンコ・パチスロ総販売台数は、前年比微増の152万8,000台を記録した。内訳を見ると、パチンコは前年比111%の87万台に達した。昨年は初めて80万台を割り込んだが、今年はラッキートリガー(LT)3.0搭載機の登場が市場をけん引し、回復を遂げた。
一方、パチスロは65万台(前年比91%)にとどまった。パチスロ人気自体は継続しているものの、型式試験の適合率が下落したことで新台のリリース数が減少したことが要因だ。
過去10年間の推移を見ると、新台の販売台数は約100万台減少(2016年は251万3,000台)しており、ホール軒数の減少に比例して市場規模は縮小傾向にある。2025年の数値はコロナ禍の2020年を除けば過去2番目に低い水準だ。
機種別の販売台数ランキングでは、パチンコ部門で『e新世紀エヴァンゲリオン~はじまりの記憶~』(40,500台)が首位を獲得した。2位に『Pスーパー海物語IN沖縄6』(37,500台)、3位に『e東京喰種』(35,000台)が続いた。今年はトップ10に新規タイトルが3機種ランクインしており、特に『e東京喰種』は4回ほどの増産を繰り返すなど、新たな定番タイトルの誕生を予感させた。
パチスロ部門では『ネオアイムジャグラーEX』(75,000台)が1位に輝いた。2位には『L パチスロ革命機ヴァルヴレイヴ2』(35,000台)、3位に『L 東京喰種』(32,500台)がランクインした。昨年はトップのみが3万台を超えていたが、今年は新台タイトル数が減った分、上位機種への需要集中が起き、2位・3位も3万台を突破した。なお、期待していたBT機はトップ10にランクインしなかった。
メーカーグループ別の販売台数では、SANKYOグループが圧倒的な強さを見せつけた。パチンコで28万8,500台、パチスロで9万2,000台を販売し、合算で38万500台を記録した。これは市場全体の新台販売の約25%を占める数値であり、2位のサミーグループ(15万8,000台)、3位のユニバーサルグループ(11万5,000台)を大きく引き離し、同グループの総合力が際立つ結果だ。
パチンコメーカー単体の実績を見ると、1位はSANKYOグループ(28万8,500台)で、昨年と比較して9万台もの上積みを実現。2位には三洋グループ(10万3,500台)、3位にはサミーグループ(10万2,000台)が続いた。SANKYOグループが独走する一方で、トップ5にランクインしたメーカーであっても販売台数が6万台を下回るケースが見られ、一部の大手を除いてはパチンコ販売の厳しい状況が続いていることが浮き彫りとなった。
パチスロメーカー単体で見ると、ユニバーサルグループが2位に浮上した。9機種を安定してリリースしたことが順位上昇につながった。サミーグループはパチスロ部門で5位となったが、これは注目作『スマスロ 北斗の拳 転生の章2』の納品が来年1月に控えているためであり、仮に年内納品であれば順位を大きく上げていた可能性が高い。
スマート遊技機の販売状況については、パチンコ全体に占めるスマパチの販売割合が昨年の約22%から約59%へと急増した。特にLT3.0搭載機が導入を開始した7月以降に比率が高まった。ただし、ゲーム性の向上による安定した人気の定着が今後の課題だ。一方、スマスロの販売割合は約87%で前年並みを維持した。ジャグラーシリーズを除けば新台のほとんどがスマスロという状況だが、「スマスロであれば売れる」という特需的な状況は終わり、作り込みが求められるフェーズに入っている。
発表会の最後には、村岡裕之代表取締役が2026年の市場予測について言及した。
パチンコに関しては、ユーザーおよびホール数の減少、複雑な高射幸機中心の新機種リリースなどが不安要素となり、販売台数が70万台を下回る可能性を示唆した。これは最盛期(2005年)と比較しておよそ8割減となる厳しい見通しだ。
一方で、パチスロは現状維持か微増と予測した。適合率の低迷が続いたとしても、現在の販売傾向から見て、2026年はパチスロの販売台数が初めてパチンコを上回る「逆転現象」が起きる可能性が極めて高いと結論付けた。業界全体として、パチンコ客の減少に対する危機感が強まるなか、次年度の動向に注目が集まる。



