ぱちんこ広告協議会(PAA)は12月8日、東京・お茶の水のソラシティカンファレンスセンターにおいて第9期社員総会を開催し、併せて記念セミナーおよび第4回PAA広告大賞表彰式を実施した。記念セミナー第3部では「ぱちんこ産業広告動態調査2025年版(速報版)」が発表され、現在のホール広告販促の実態と課題が明らかになった。
調査によると、ホールの広告販促施策で最も多く実施されているのは「SNS運用(LINE、X、YouTube)」で84.4%、次いで「店内装飾・サイネージ」が84.0%となり、情報発信の主軸がデジタルへと完全に移行している状況が裏付けられた。さらに、「重要視する施策」においてもSNS運用が44.9%でトップとなり、今後の販促戦略においてもSNSが中核を担う構図が鮮明となっている。
一方、近年増加傾向にある来店・取材イベントについては、新規客の獲得や競合対策を主な目的として実施する店舗が多く、「一時的にでも稼働が上がる」と回答した店舗は89.4%に達した。しかし、「常連客が喜ぶ」とする肯定的な回答は35.0%にとどまり、短期的な集客効果は高いものの、固定客の満足度向上や定着には直結しにくい現実も浮き彫りとなった。
この点について、解説を担当したPAA参与で東洋大学非常勤講師の柳井猛晶氏と、シーズの人首雄介氏は、「建前と本音の間にギャップがあり、現場にはジレンマが見え隠れしている」と指摘。イベント施策に依存しすぎた集客モデルの限界にも言及した。
総会では、第10期に向けた活動方針として、「ぱちんこ広告認証制度(仮)」の検討や、各種プロジェクトのさらなる深化を図る方針が示された。また記念セミナーでは、タイミー執行役員社長室の石橋孝宜室長が登壇し、スポットワークがもたらす働き方の変化について講演。続く第2部では、ホール関係4団体広告宣伝検討会の佐藤公治委員が、非遊技層へのアプローチ強化の重要性を訴えた。
さらに総会後の懇親会では、警察庁生活安全局保安課の小坂田潤課長補佐が挨拶(代読)に立ち、PAAがこれまで取り組んできた広告の信頼性・透明性確保への姿勢を評価するとともに、今後も業界の健全化とコンプライアンス徹底を推進していく必要性を呼びかけた。

第4回PAA広告大賞のグランプリを受賞した中田舞香さん(デザイナー)による作品「あまやどり」。



