都内で13店舗を展開するメッセが、インバウンド市場を見据えた新たな取り組みを推進している。その中心にあるのが「アニメIPの活用」。訪日外国人が日本文化として親しむアニメを切り口に、パチンコの興味喚起を狙う戦略だ。
発端は、現場スタッフが外国人客と接する中で感じた言葉の壁。《メッセ吉祥寺店》には、英語を話せるスタッフがいるものの、それ以外のスタッフによるコミュニケーションが課題となっていた。
2年ほど前から、社内ではインバウント市場を見据えた構想は存在していた。それが、『ジャパニーズアニメーションゲーム』というコンセプト。遊技機には『エヴァンゲリオン』『北斗の拳』など、世界的に人気のアニメIPが数多く採用されており、これら資産を積極的に活用。パチンコを理解してもらおうという発想だ。
同社では、「外国人にとってゲームは馴染み深い、日本独自の遊びであるパチンコを一言で説明するのは難しい。そこで日本を象徴する『アニメ』を掛け合わせ、分かりやすく表現していく」としている。
そこで今期より活発に実施しているのがコスプレでの演出だ。訪日外国人も各店で見られるようになった。
社内制度が後押し「やってみよう」が成果に
同社では社員が自由にアイデアを提案できる「やってみよう制度」が運用されており、その一つとして今回、大野さんのチームが提案したのが冒頭の取り組みだ。試験的に取り組みを開始したところ、外国人客から好評を得たため、全店への展開が決定。遊技方法を図解したパンフレットも作成中で、誰でも指差しで説明できる仕組み作りが進んでいる。
これら取り組みについて大野さんは、「アイデアを活かせることが嬉しい。仲間に支えられたからこそ実現できた」と語る。世界的に人気を誇るアニメと、日本独自の娯楽であるパチンコ。その融合は、インバウンド需要拡大に向けた新しい切り口として注目されている。同社の挑戦は、業界全体にとっても大きな示唆を与える事例といえそうだ。

《メッセ吉祥寺店》の大野直子さん

大野さんらが提案した、多言語対応をアニメ調のイラストで訴求したパンフレット。

グループ会社のサウナ施設「MONSTER WORK & SAUNA」は、今年6月21日〜8月17日に人気アニメ「進撃の巨人」とコラボ。コラボ期間中は、売上が1.3倍に上昇するなど絶大な集客効果が発揮されたという。