シーズリサーチは10月、「第102回パチンコ景気動向指数(DI)調査報告書」を公表した。調査期間は9月11日~30日、対象は日遊協、MIRAI、余暇進の3団体会員および全国の有力ホール企業53社・81地域。
今回の調査では、全般的業況DIが前回比9.1ポイント低下の▲3.7ポイントとマイナス圏に転落し、3カ月後も▲8.6ポイントまで落ち込む見通しとなった。業況悪化の主因として、「来店客数の減少」を挙げる事業者が現況で62.2%、先行きでも56.5%と突出して高かった。
【全般的概況】

稼動状況では、パチンコが▲43.2ポイント(前回比7.6低下)と依然厳しく、3カ月後も同水準で推移する見込み。一方、パチスロは17.3ポイント(同7.0低下)とプラス圏を維持したものの、年末にかけて13.6ポイントまで低下する見通しとなった。遊技料金別では、4円パチンコが▲55.0ポイント(同10.8上昇)と改善傾向を示したが、20円パチスロは13.6ポイント(同2.6低下)とやや減速。一方で、低貸メダルパチスロは42.1ポイント(同12.2上昇)と堅調だった。
【稼働状況】

経営上の課題では、全ての規模の事業者で「メーカーの遊技機販売の縛り」「設備・運営費の増加」が上位を占めた。小規模では約9割が販売縛りを課題とし、大規模でも設備・運営費増と並んで最も多かった。
また、今後3カ月間の営業施策では、「遊技事業」が2.0ポイント(前回比4.4低下)と縮小傾向にある一方、「遊技以外の事業」は15.4ポイント(同6.7上昇)と拡大が見られた。遊技機購入費では「パチスロ新台」が21.2ポイント(同11.0上昇)と投資意欲が高まる一方、「パチンコ新台」や中古機は低下している。
自由回答では、「客数減少が最大の課題」「LT3.0プラス機の単価上昇」「物価高による余暇支出減少」など、業況悪化の背景を指摘する声が多かった。特に、給与支給日やボーナス支給日など“給料日周辺”に客足が集中し、それ以外の日との落差が拡大しているとの意見が目立った。生活防衛意識の高まりが遊技支出にも影響しているとみられる。
一方で、「スマート遊技機の導入効果は地域や店舗規模で差が大きい」「大型店の新規出店による競争激化で戦略見直しを迫られている」といった声も多かった。メーカーに対しては、「LT3.0プラスに偏った機種開発を見直すべき」「射幸性をもう少し抑えてほしい」といった意見が寄せられ、機種供給側への要望も強まっている。
その一方で、「イヤホンジャック搭載機」による演出の多様化に期待する声も上がっている。ホラー系やセクシー系、外国語対応といったテーマにも拡張できる可能性があり、プレイヤー体験の個性化・深化を促す新たな方向性として注目されている。市場全体の厳しさが続くなかでも、こうした新技術を活かした新たな価値づくりが、今後の市場再生の糸口になる可能性がある。