ライトミドル機は、当たりやすさと出玉性能のバランスを両立した中間帯のスペックとして長年一定の支持を受けてきた。しかし近年はハイスペック機の台頭により、その存在感は相対的に薄れている。そんな中、LT3.0プラスの登場により、ライトミドル機の立ち位置に再び注目が集まり始めている。
ライトミドル機の現状
一般的にライトミドル機とは、大当たり確率が甘デジ機とミドル機の中間に位置するパチンコ機を指します。確率帯としては概ね1/150〜1/250で、特に1/199前後のスペックが多く採用されています。ミドル機よりも当たりやすく、甘デジよりも高い出玉性能を備えている点が特徴です。
一方で、現在の市場では新台の中心がハイスペック機に偏っており、ライトミドル機の稼働(アウト)は相対的に高いとは言えません。4円パチンコにおける設置比率は約20%程度ですが、ライトミドル機のアウトは4円パチンコ全体の平均を下回っている状況です。
比率 | アウト | |
4円パチンコ | 1,008個 | |
ミドル以上 | 56.9% | 1,289個 |
ライトミドル | 20.3% | 711個 |
稼働貢献週という視点で2024年のデータを見ると、4円パチンコ全体の稼働貢献週がLT機の登場によって大きく伸びたのに対し、ライトミドル機ではLTの有無が稼働貢献週に与える影響は限定的でした。『まどマギ3』のように40週を超える稼働貢献を示す例もありますが、20週未満で終える機種も多く、スペック以上に個別機種の完成度が結果を左右していることがうかがえます。
機種数 | 稼動貢献週 | |
4円パチンコ | 116 | 10.8週 |
4円パチンコLT機 | 46 | 14.1週 |
ライトミドル | 36 | 11.5週 |
ライトミドルLT機 | 23 | 12.8週 |
「デカヘソ機」=ライトミドル機という視点
近年注目されている「デカヘソ機」は、たとえば大当たり確率1/349のミドル機でありながら、1,000円あたりのスタート回数が28回転と高く設定されている機種を指します。この場合、初当たりまでにかかる平均投資金額は約12,500円となります。
一方、一般的なライトミドル機は、大当たり確率1/199かつ1,000円あたり16回転といったスペックで、初当たりまでにかかる平均投資金額は、デカヘソ機同様、約12,500円になります。このように「投資期待値」の面で見れば、ミドル機とライトミドル機の間に実質的な差がほとんどないケースもあります。
この点から、デカヘソによってスタート性能を強化した機種は、表記上のスペックにかかわらず、実質的にはライトミドル機に近いカテゴリと捉えることができます。これまでにも高稼働を記録したデカヘソ機は多数あり、今後もバリエーション豊かな仕様の機種が登場してくることが予想されます。
表記1/399のLT機も、実質は1/199のライトミドル機?
LT機では、大当たり確率1/399と表記されていても、内部的には1/199で当選し、その半数が「チャージ」と呼ばれる時短なし・小出玉の当たり、残り半数がRUSH突入の図柄揃い大当たりという設計も見られます。
このような場合、メーカーによっては「1/199で半分チャージ」と表現することもあれば、「1/399でチャージ+RUSH」とまとめて表現することもあります。
たとえば以下の2機種を比較すると、出玉構成には大きな差がない一方で、表記上の大当たり確率は異なっています。
●『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』
・大当たり確率:1/199.8
・振り分け:50%=450個+時短/50%=300個・時短なし
・メーカーTS(トータルスタート):1/399.6
●『バイオハザード RE:2』
・大当たり確率:1/199.8
・振り分け:1%=1,500個+LT/50%=300個+時短/49%=300個・時短なし
・メーカーTS:1/199.8
このように、設計思想や演出構成により見せ方は異なりますが、スペック性能としては大きな違いがないこともあります。さらに多くのホールでは、チャージ当たりもデータ表示機上では「大当たり」としてカウントされており、ユーザー視点では1/199のライトミドル機と同様に映ることが少なくありません。
LT3.0プラス時代だからこそ、ライトミドルにチャンスあり
LT3.0プラスの登場によって、従来型LTに多く見られた「チャージ当たり」の比率を抑えることが可能になりました。これにより、表記上は大当たり確率1/399でも、チャージを含めた実質的な当たり確率は1/349程度が主流となっています。
従来、1/199のライトミドル機においても小出玉・時短なしの当たりが含まれていましたが、LT3.0プラスではそれを明確に切り分けることで、設計の自由度が増しています。
ただし、体感的な当たりにくさは増しており、たとえば大当たり確率1/349・スタート16回(1,000円あたり)の機種では、平均投資額が約21,800円に上ります。1/199・スタート16回の機種と比べると、約1.7倍の負担感となります。
このように全体的に射幸性が上昇傾向にある中で、ライトミドル機は「当たりやすさ」と「一定の出玉性能」のバランスをとった存在として、あらためて注目される可能性があります。とりわけデカヘソを活かした設計のライトミドル機は、プレイヤーの体感的な期待値と遊技満足度の両面で、供給を上回る需要が見込まれます。
かつてのライトミドルは、射幸性と当たりやすさの“中途半端さ”が弱点とも言われましたが、現在は突入率を抑える代わりにLT機能を搭載することで、一撃性にも富んだスペック設計が可能となっています。つまり、当たりやすさと射幸性のバランスを兼ね備えたライトミドル機こそが、LT3.0プラス時代における次のヒットゾーンになる可能性が高いのではないでしょうか。