今回は、視覚的効果でプレイヤーの心を引き寄せる空間作りについて解説したいと思います。
前回はパチスロ『ディスクアップ』を例に、聴覚情報についてお話しさせていただきました。今回は、少し視点を変え、視覚情報に関するお話をさせていただきたいと思います。
多くのパチンコホールでは、プレイヤーに良い印象を与えるために店内に装飾を施し、さらに興味を引くために様々な工夫がなされています。店舗の内装や装飾は、視覚情報として私たちに強い影響を与え、空間に対する印象を決定づける重要な要素です。
視覚情報を用いてプレイヤーに印象を与える手法として、以下の要素が挙げられます。
・色の使い方
色は視覚的に最も直接的な影響を与え、空間やデザインにおいて異なる感情や印象を引き起こします。
・照明や光の演出
照明は空間のムードや印象を左右し、光の強さや色温度、配置を調整することで、印象を自在にコントロールできます。
・形状や線の使い方
形状や線の使い方で空間の印象や心理的反応を操作できます。
・素材の組み合わせ
テクスチャーや素材を活用することで、視覚的だけでなく触覚的な感覚にも影響を与え、空間に深みを加えます。
・空間の広さや圧迫感
空間の広さや配置により、広がりや圧迫感が生まれ、プレイヤーの心理に大きな影響を与えます。
・パターンや繰り返し
パターンや繰り返しを使うことで、視覚的なリズム感を生み出し、空間に統一感を与えます。
・動きと変化
視覚的な焦点を設定し、空間内での動きや変化を取り入れることで、プレイヤーの注意を引きつけることができます。
これらの方法で心理的な効果を演出することができますが、店舗で十分に活かされていない設備が一つあります。それがナンバーランプです。ナンバーランプの使い方を変更するだけで、色の使い方や照明、動きと変化によって印象を大きく変えることができます。
しかも、この変更はコストがかからず、簡単に実行できるため、非常に効果的です。
多くの店舗では、ナンバーランプの光がデフォルトの七色のままであり、その変化を活かしていないことが現実です。しかし、ナンバーランプの光の色を変更することで、店舗の雰囲気を大きく変え、視覚的に強い印象を与えることが可能です。
心理学者は、「色は強力な感情的影響を持ち、特に明るい色は人々に活気を与え、引きつける力を持つ」と述べています。視覚的な印象は私たちの感情や行動に大きな影響を与えるため、その力を効果的に活用することが空間作りにおいて極めて重要です。
店舗におけるナンバーランプの光を、冷静さを促す青や緑を使用せず、赤、黄、オレンジ、ピンクといった暖色系で彩ることにより、ポジティブなエネルギーを店舗に注入できます。このような色の使い方は、来店者に活気あふれる魅力的な空間を感じさせることができます。
赤はエネルギッシュな活力を生み出し、黄は気分を高揚させ、オレンジは親しみやすさを引き出します。ピンクは華やかさと温かみを演出し、店舗全体の印象をより魅力的にします。ナンバーランプの色彩を巧みに活用することで、店舗の魅力を倍増させ、来店者の心を引き寄せることができるのです。
色の力を最大限に引き出し、店舗の空間をさらに引き立てることで、より多くのプレイヤーを魅了することができます。
◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役
2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。