【コラム】『海物語』のプレイヤー心理を考える

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『海物語』のパチンコプレイヤーが、新台や他店に興味がないのは果たして本当なのでしょうか? 昨年の11月に導入された『P大海物語5スペシャル』は年が明けても高稼働で動いており、4Pの中では新台を除けば5本の指に入る高い稼働となっています。今回は『P大海物語5スペシャル』の話題を中心に「海物語のプレイヤー」の分析を行いたいと思います(文=小島信之/トビラアケル代表取締役)。

『海物語』のプレイヤー層

まず『P大海物語5スペシャル』ですが、導入時に新台としてロケットスタートを切った訳ではありません。導入時の稼働は新台としては低く、初週のエンタープライズの機種評価ではBランクと低い評価でした。その後、2週目Aランク、3週目Sランクと時間が経つにつれ評価が上がっていきました。

海物語のプレイヤーは新台が出たからといってすぐ飛びつくわけではなく、「この海物語は大丈夫だ」と確認して行動を起こしています。

イノベーター理論のアーリーマジョリティの特徴には「リスクを回避する」「信頼性を重視する」、レイトマジョリティの特徴はそれらに追加し「価格を重視する」傾向があります。新製品が出てもすぐに動くのではなく、しっかり吟味してから動くのがこの2つの層です。

まさに『P大海物語5スペシャル』の導入後からの推移を表しているのではないでしょうか。これを表しているのが設置台数別の稼働率です。

設置台数別の稼働率

信頼性を重視する海物語のプレイヤーは、店舗での設置台数は多いほど「こんなに台数を導入しているから力を入れているのだろう」と、その店舗での安心感は高まり、遊技に繋がっているのです。

新台に興味がない?

新台に対して動きが遅いため、『海物語』のプレイヤーは「新台に興味がない」とよく言われています。

しかし、「動きが遅い」と「興味がない」は全くの別モノです。新台に興味がないなら、『P大海物語5スペシャル』の稼働も上がらないはずです。海の新台は当然のこと、海以外の新台にも興味は持っています。

ただ「リスクを回避する」傾向のため、特に『海物語』以外の新台には滅多に行動に移せないのです。過去には『牙狼』や『花の慶次』で、『海物語』プレイヤー層が遊技していたことも多々あります。

では『海物語』のプレイヤーにとっての「リスク」とは何なのか。それは自分でも「安心して楽しめるか」「安心して勝負が出来るか」ということです。自分から積極的に新台の情報を取りに行くわけではないので、新台の演出のアツさなどがほとんど分かりません。

さらにゲーム性が複雑だと止め時を間違えて、カマを掘られて損してしまう可能性もあります。新台の情報をしっかりと理解していないため、安心できないのです。遊技しないのは、必要とする新台の機種情報を、分かりやすく伝えられていないだけです。逆を言えば、新台の情報さえしっかり理解できれば、それらに対する不安が無くなり、行動に移る可能性もあるのです。

同じことは店舗でも言えます。『海物語』のプレイヤーは「店舗を移らない」という理由で、最近ではシェア獲得を諦めている店舗を多々見ます。しかしそれは「移らない」ではなく「移りづらい」だけなのです。海物語のプレイヤーは他店にもしっかりと興味を持っております。ただ、店を移るだけの理由を満たせていないだけで、時間を掛けて1つ1つクリアすれば、移る可能性は十分にあるのです。

◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役

2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。

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