失敗しない売り場プロモーション㊵(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
伝えることを軽視しない
お客様へあなたのお店の営業戦略や営業魅力を伝えるためには、どうすれば良いのでしょうか?
私が支援している企業や店舗の営業会議に参加させて頂くと、驚くことが多々あります。驚く理由は、店長を含めた経営幹部の方々が営業戦略・施策の失敗を会議の場で語るからです。「先月の会議で決めた営業戦略を実施したが、アウトやIN枚は増えずに、客数シェア率も変わらなかった」とデータを示しながら報告するのです。
一見普通のことに感じるかもしれません。しかし、営業戦略を直ぐに疑ってはいけません。なぜなら営業戦略を捻り出すことに限界があるからです。
広告ガイドライン制定により、実施できる営業の幅は数年前と比較すると広がりました。ただし、数十年前と比較するとできることに限りがあり、営業戦略を疑い新たな営業戦略を生み出し続けることに限界があります。結局、過去に失敗で終わったと決めつけていた営業戦略と類似する施策を毎年実施している場面を多々見受けます。
営業戦略や営業魅力がお客様に十分伝わらずに、目標の営業数値に届かなかったことが、営業会議の中で語られる店長を含む経営幹部があまりにも少ないです。どれほど優れた素晴らしい営業戦略を立案しても、お客様に伝わらなければ、お客様の消費行動は変化しません。営業戦略を選定した後の「伝える」という行為を軽視して成果は生まれません。
営業戦略の最重要テーマがお客様に何度出会う広告設計にしていたのか。さらに、伝える場所はお客様の立ち止まる場所や座る場所でどの程度掲示されていたのか。また、営業戦略の最重要テーマを伝えるために、どのタイミングで何回広告を変更したのかなど広告戦略や戦術の不足によって、伝わらないという事態が発生します。伝わっていないのに、営業戦略がダメだったと決めつけるのは早計ではないでしょうか?
まずは営業戦略を疑う前に、広告戦略や戦術を疑ってください。
例えば、スマスロ『L東京喰種』を導入後、営業数値が良かったため、中長期で運用するためにおすすめの主力機種として育てようと考えます。この場合、あなたならどのような手順でお客様におすすめの『L東京喰種』を伝えるでしょうか?
このコラムでは、お客様に伝えるためには顧客欲求に寄り添うことが重要だと様々な角度や視点から解説をしています。顧客欲求の強さは顧客の検索数の多さに現れます。つまり、顧客欲求を知るためには、顧客の検索を科学的に捉えることが重要です。
例えば、『L東京喰種』の検索数は現行の主力機種である『スマスロモンキーターン』や『ゴッドイーター』また『モンハンライズ』『からくりサーカス』と比較すると、2025年2月18日時点では検索数上回っていることがグラフの推移から読み取れます。

スマスロ主力機種の検索数の推移
例えば、『L東京喰種』をおすすめ機種として伝える一案として、どのタイミングで何度変更するのかという鮮度プロモーションを駆使します。他の機種と比較して、『L東京喰種』の広告を何度も変更することで、伝達力の最大化を図ります。
実施していただくと分かりますが、特に常連のお客様から「強化しているね」という声が自然と沸き上がります。だから当社のデザイン定期便では2月中旬時点で17種類のデザインを制作して追加しています。顧客欲求の強いタイミングで如何に手数を増やすことができるか? それが強いお店の特徴です!
良い数値で推移しているのに、そのまま放置していれば競合他店と同じく良い時は良く、悪くなれば同様に悪くなります。これでは地域1番店や遊技台予算が潤沢な旗艦店に負け続けます。

『L東京喰種』ポスター17種類の中の一例
©石田スイ/集英社 ©石田スイ/集英社・東京喰種製作委員会 ©石田スイ・十和田シン/集英社・東京喰種製作委員会 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
顧客が使う言葉から広告を練る
また、大切なことはお客様の使用する言葉から広告を練ることです。お客様は『L東京喰種』をどのように検索しているのでしょうか?
実は、「東京グール」の検索数が多いです。だから、「東京グール」というキーワードから顧客欲求を抽出することが大切です。
の検索推移-002-420x227.jpg)
『L東京喰種』の検索ワード
さらに、広告で使用するキャラクターも顧客欲求に寄り添うべきです。『L東京喰種』の人気キャラクターは鈴屋什造です。お客様は興味のあるものしか見ません。だからこそ、顧客欲求の高い要素を広告にふんだんに取り入れるのです。
のキャラクターの検索数-002-420x256.jpg)
『L東京喰種』キャラクターの検索結果
【お知らせ】
顧客欲求を踏まえたデザインと言えばデザイン定期便
https://www.uriba-design.com/
◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。