人材問題を解決するホール企業DX最前線(後編)
現場改善を支える自動化ツールの実力 「前編記事はこちら」 

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業務時間6・3万時間削減!マルハン東日本カンパニーの挑戦

人手不足やコスト高騰が進むなか、昔ながらの手作業頼みの業務は競争力低下を招く。そこで注目されるのが業務の自動化だ。㈱マルハン東日本カンパニーの取組みから、ホール企業が今後育むべき「デジタル人材」の必要性を探る。

手作業中心では競争力に限界

ホール業界は、人手不足によるオペレーション維持の難しさやコスト構造の見直しなど、大きな転換期に立たされている。従来型の手作業中心の業務では、もはや他社との差別化や迅速な意思決定が難しくなりつつある。

中でも、報告書や帳票の作成、在庫・発注管理、マーケティング情報の収集など、バックオフィス業務は後回しになりがちだ。しかし、これらを自動化・省力化すれば、スタッフは本来の業務に集中でき、経営陣は即断即決できる。業務自動化は、ホール企業が厳しい競争を勝ち抜くための有力な手段といえる。

こうした動きの中で注目されるのが、マルハン東日本カンパニーの取組みだ。同社は長年の手作業中心の業務を見直し、2023年4月、営業支援部内に「自動化チーム」を立ち上げた。石田雅宏デジタルエンジニアは「各店舗でバラバラに行っていた業務を集約し、自動化することで、年間合計6万3000時間もの店舗内の作業削減を実現しました」と成果を語る。

自動化ツールが店舗業務を一新

自動化の代表例は、各店舗が毎日行っていた「売上・利益・稼働状況」などの営業レポート作成だ。以前は、店舗スタッフがホールコンピュータから出力したデータをExcelに手入力し報告。上司からの細かい注文でファイルが肥大化するなどの問題もあり、最終的に「重くて誰も開かない」状態が当たり前になっていたと、営業支援部の金丸直樹部長(自動化チームリーダー)は振り返る。

現在はPythonをはじめとするプログラミング言語の活用で、レポート作成を自動化。必要な情報はシステム内のダッシュボードに集約し、店舗ごとの状況を一目で把握できる。さらに、店長向け、経営陣向けといった役職ごとのニーズに合わせてレポートを自動生成・配信する仕組みが整い、手作業は一切不要となった(中村聖司デジタルプロモーションディレクター談)。

同社は、在庫管理や物流の発注処理でも自動化を進めている。これまでは電話やメールでの依頼をExcelに転記し、部門間で異なる様式を照合・修正する手間がかかっていたが、自動化ツールにより一度の入力で全関係者へ即時共有が可能に。人的ミスが激減し、作業負担も劇的に軽減できた。和氣武治デジタルコーディネーターは「工数削減だけでなく正確性が増しました。遊技機に関する書類の内容が1つでも間違えていれば、設置の検査が通らない可能性もあります。営業ロスにも繋がる課題を解決できたことは大きい」と話す。

また、マーケティング情報の収集・分析も一元管理を実現。これまでは店舗ごとに独自で行っていたWEB上での業界動向・競合情報の収集が標準化された方法で自動化され、営業計画の精度やスピードが飛躍的に向上している。 同社は今後、生成AIの導入も進めていく。例えば顧客の声やSNS上のコメントを解析し、顧客満足度向上に向けた仕組みを検討中だ。

 

デジタル人材の育成が不可欠

こうした自動化・デジタル化を持続的に進めるには、ホール特有の業務を理解し、ツールを自在に扱える「デジタル人材」の育成が欠かせない。しかし、一般的なプログラミング学習だけでは、ホール業務への応用は難しい。

そこで有力な選択肢になるのが、㈱ENTERの「業務自動化研修」だ。業界知識を持つ専門家や、マルハン東日本カンパニーで実績を出したメンバーが講師を務めるため、プログラミング未経験者でもPythonツールの開発・運用スキルを習得できる。これによって、現場社員が自ら自動化や改善に取り組める体制づくりが可能になる。

デジタル人材の育成と自動化ツールの導入が進めば、ホール企業は業務効率化を背景に、「攻め」の経営へと舵を切れるだろう。

株式会社ENTER
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