8月26日に日工組と日電協より「新しい遊技性のパチスロ」に関して、新機能「ボーナストリガー(BT)」についての記者会見が行われました。今回のコラムでは近い将来登場するBT機について解説させていただきます(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。
詳細な仕様については日電協の公式コラム(【パチサミ公式コラム】新たな遊技性「ボーナストリガー」登場! – パチスロサミットONLINE (pachislot-summit.com))をご確認ください。
目次
重要ポイントについて
現時点で具体的な機種仕様は出ていませんので、なかなかイメージしづらいと思います。まずは押さえておく重要ポイントをまとめておきます。
・AT機&RT機では搭載不可
・ボーナス終了後に通常遊技の規定数を変えて固定してもOK
・固定する規定数はボーナス毎に決めてOK
特に注目すべき点は、ボーナストリガーは「AT機&RT機では搭載不可」ということです。つまり、ノーマル機限定の新機能で「有利区間」や「差枚数2,400枚」といった話とは無関係です。またRTも絡んできませんので、「天井」や特定のゲーム数が優遇されるといった「ゾーン」なども存在しません。
昨今の主流のAT機パチスロは「有利区間」の話とセットとなることで、どうしても新規ユーザーやライト層に複雑な印象を与えていました。今回のボーナストリガーはあくまで、現行のノーマル機への+αの味付け要素です。
一例を挙げるならば、通常時に3枚掛けでボーナスA(200枚取得)が当せんし、その後2枚掛けでの遊技へ移行します。ここで高確率にボーナスBが当せん(200枚取得)することで、約400枚の出玉が得られるというようなイメージです。ボーナスB消化後は再び3枚掛け状態へ移行します。
これにより、これまで6号機ノーマルタイプで特に要望の声が大きかったボーナスの枚数の上限アップにつながる仕様が実装可能となります。
遊技性について
BT機の特徴は、ボーナス終了時に遊技枚数がいずれか1つに固定されることです。これにより、従来になかった通常時を3枚掛け以外で固定遊技することになります。
現行のジャグラーシリーズのボーナス中のように、遊技状態が変わると2枚掛け固定で遊技する機種はこれまでに多く存在しています。また、昨今は「MAXBET」を用いた遊技が主流ですので、プレイヤーは従来機と違和感なく遊技できると考えています。
一方で、従来のノーマルタイプの出玉増加区間(=ボーナス)は、開始時の図柄揃い以降は概ねフリー打ちでゲーム消化が可能であったのに対して、BT機では2枚掛け(または1枚掛け)時の高確率中にもボーナス入賞の目押しが必要となります。
スペック性能について
BT機は、ノーマルタイプとAT機の中間に位置すると説明されています。しかし、昨今のスマスロのAT機とスペック性能で比較すると、従来のノーマルタイプに近い射幸性の機械になると予想しています。
一定の射幸性を求めるのであれば、やはりAT機で設計した方が魅力的な機械が作れます。
スペック性能アップというよりは、現行ノーマルタイプをベースとした「遊技性の幅」の拡大に期待するといった見方が良いと思います。
ホールへの導入時期について
今回の改正は2024年8月23日付けですが、各メーカーのBT機の試験機関への持ち込みはもう少し先になります。一方で、現在の開発レベルを考慮すると年内に型式申請するメーカーも出てくることでしょう。2025年の早い段階で全国のホールに設置されると予想しています。
さいごに
BT機の登場により、パチスロ業界に新たな風が吹き込まれることが期待されます。従来のノーマル機を軸に新たな遊技性を追加することで、幅広いプレイヤー層に受け入れられる可能性を秘めています。
開発としてもBT機のゲーム性はこういったものと現時点で100%見えているわけではありません。試行錯誤や今後の市場の反応を見ながら開発を進めていきます。
業界の活性化につながる新たな新パチスロBT機の登場にご期待ください。
◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表
発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536