現在において「出玉率」と「機械割」は打ち手目線ではほぼ同義で使われる言葉です。実は開発内でも厳密に使い分けている人の方が少ないです。しかし違いを知る事で、遊技機界隈で頻繁に起きているすれ違いについて理解する事が出来ます。(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。
機械割とは?
機械割を算出する上で必要となるパラメーターは2点で「IN枚数」と「OUT枚数」です。
たとえば、とある機種を遊技し最終結果としてメダルを100枚入れ(=IN枚数)、120枚のメダルが出てきた(=OUT枚数)とすると、
機械割=120枚(OUT枚数) ÷ 100枚(IN枚数) = 120%
となります。
実際に出てくるパラメーターが2つで計算も割り算のみなのでとても簡単ですね。
1点注意点を挙げるとするならば、実際においてはリプレイ成立時のOUTは0枚であり、次ゲームのIN枚数が0となるわけですが、基本的に一般の方の機械割計算においてリプレイ(再遊技)はIN枚数が3枚、OUT枚数が3枚(※3枚掛け遊技)として計算します。機械割計算においてリプレイは3枚役と同等という事です。
機械割について、重要なポイントは遊技の結果より計算されるという事です。
出玉率とは?
こちらも簡単な例をあげて説明します。
たとえば、3枚掛け専用機の「Sじゃんけんまん」という1/3で9枚払い出される機種を10G打つとします。
想定されるIN枚数とOUT枚数、および出玉率を計算すると、
IN枚数 = 3枚 × 10G = 30枚
OUT枚数 = (1/3 × 9枚 × 10G) = 30枚
出玉率 = 30枚(OUT枚数) ÷ 30枚(IN枚数) = 100%
となります。
ポイントはIN枚数、OUT枚数が期待値計算になっているということです。
これを少し複雑にして、「Sじゃんけんまん2」という1/3でビタ押しチャレンジが発生し、目押し成功時のみ9枚払い出される機種を10G打つとします。
こちらも同様に計算して…とするとパラメーターが1つ足りない事が分かります。今回の問いでは「ビタ押し」という技術介入が追加されていますが、こちらの精度(何%でビタ押し成功するのか)が決まっていません。
100%想定であれば、
OUT枚数 = (1/3 × 9枚 × 100% × 10G) = 30枚
80%想定であれば、
OUT枚数 = (1/3 × 9枚 × 80% × 10G) = 24枚
と精度の想定値でOUT枚数が変わり、結果的に出玉率が変わってくる事が分かります。
機械割と出玉率の違い
「機械割」計算においては、遊技の結果のOUT枚数をみて計算するので、たとえ技術介入機であってもこの精度の考慮はいりませんでした。
まとめると、
✅機械割=遊技結果から計算した値
✅出玉率=遊技結果を予測した値
となります。
このため、各メーカーの機種HPや営業資料にのる機械性能を示す指標としては「出玉率」が採用されています。
一方で、新台初週などでときにSNSで話題に挙がる機械性能を示す指標は「機械割」です。つまり、新台を一定期間運用しての遊技結果より算出された値です。
このように実質同義で使われている「出玉率」と「機械割」ですが、計算式が根本的に違うためときにメーカーの公表の予測値(=出玉率)と市場の結果(=機械割)の差が出る事があるのです。
◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表
発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536