失敗しない売り場プロモーション⑭(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
時代で変わるパチンコ店の広告の役割
2023年、新たな年となりました。ここ最近は、スマスロの話を中心に時流に沿ったコラムを執筆しましたが、新たな年なので一度立ち止まり、今回は広告の原点を探ります。改めて広告の意義について考えてみましょう。
なぜ広告を行うのか? 本当に広告は必要なのでしょうか?
お客様から頂いた大切なお金から広告は生まれます。遊技機であれば、導入後に中古市場へ流通させることができるため、資産になる可能性があります。しかし、一度作成した広告は転売できる価値がないため経費でしかありません。なぜ広告を行うのかということを明確化しなければ、経費の無駄使いとなってしまいます。
大昔はイベントが出来たので、直接的な増客手法の一つでした。しかし、現在、広告でお客様は増えますか? 私はこの数年、目に見える大きな効果を実感したことがないです(※来店イベントや取材イベントを除く)。つまり、集客のために広告を行うという考え方がそもそも間違っています。残念ながら広告が集客手段であるという発想は旧態依然の発想です。
では、今回の本題です。広告は、集客力の向上を目指す時代から、認知力の向上を目指す時代となりました。我々の消費行動の起点は認知です。頭の中に思い浮かぶものしか我々は消費できません。当たり前の話ですが、ラーメンを食べたいと頭の中でラーメンを認知するからラーメンを食べるのです。つまり、お客様がスマスロの北斗の拳を打ちたいと思った時に、あなたのお店が認知されていなければ、あなたのお店にご来店する確率はゼロです。そのため、認知力の向上が必要不可欠なのです。
しかし、認知向上を目指すためには多くの時間と労力そして覚悟が必要です。そこで、今回は既に認知されているものを借りて、最短期間で認知力の向上を目指す具体的な事例を解説します。
最短期間で認知を向上させるポイント
しきぶちゃんというキャラクターをご存じでしょうか? 正直、私は知らなかったです。しかし、弊社の新卒1年目や私の妹など若者には絶大な人気があり、現在じゃがりこのたらこバター味のパッケージになっているキャラクターです。
なぜそこまで人気なのか? それはInstagramが70万フォローを超えて、さらに書籍として2冊出版されたキャラクターだからです。
ここ最近は、日本テレビのマツコ会議で紹介されるなどメディアの露出が増えています。さらに、ドン・キホーテ、日清、マルイなど企業とのコラボレーションや、2021年には長崎県警察の防犯あるある大使に任命されるなど活躍の場を広げています。
このキャラクターは現在、NFT(Non-Fungible Token)アートとして販売されており、NFTアートを購入すれば、購入したキャラクターが利用できるようになります。2022年12月11日にリリースして、一瞬で10,000体が完売となりました。私は一体購入して、弊社の取引先で下画像の広告展開を年末に実施しました。やはり想定通りの結果となりました。
ここで既に認知獲得しているジャグラーやエヴァンゲリオンのキャラクターで良いのではないかと思ったあなた。惜しいです。私もそれで良いと思っておりました。以前、本コラムで紹介したオドボール課題という研究で、人間の脳は全く新しいものしか反応しないという科学的なデータが出ています。そのため、どのパチンコ店でも見るデザインは、脳が反応しないため、見ても認知されないという現象が起きます。
認知向上において既に認知されているもの×同業種では見ないものを組み合わせて展開していくことが重要です。2023年は、認知獲得および向上のために何ができるのか真剣に考えて情報発信するお店が増えることを願っております。
【お知らせ】
お客様に刺さるちょっと変わったスマスロ広告のデザインが生まれる理由
https://www.youtube.com/watch?v=eQVzaEmL2x4
スマスロのデザインといえばデザイン定期便
https://www.uriba-design.com/
◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。